迷走するユニクロ、値上げ後に早くも値下げ 客足戻らず、大幅下方修正で減益の失態

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ユニクロ銀座店でも価格見直しが始まっている(撮影:今井康一)

4月のユニクロ銀座店。平日夕方、一歩店に入ると「1990円」「2990円」など、あちこちで値下げしたプライスが目に飛び込んでくる。商品一点一点についたタグは、手間がかかるため取り替えず、販促用のPOPを急いでこしらえた。

1990円と打ち出されたチノハーフパンツは、実際の商品タグに書かれているのは2490円。シャツやパンツ、スウェットといった定番商品の売り場では、500円程度の値下げが多く見られる。

「この商品は平日も週末も、毎日お買い求めやすい価格に見直しました。」とわざわざ書いてあるPOP。以前は金曜日にチラシを打ち、月曜日までの4日間で値引きセールを実施していた。しかし、こうした週末セールは縮小し、ハイロー戦略とは決別する。平日でも価格を下げて、“毎日安い”というEDLP(エブリデー・ロープライス)戦略へと、大きく舵を切った。

2490円のチノハーフパンツが1990円に値下げされていた

「今まで週末にロープライスで売っていたものを、最初から最低プライス、ギリギリでやる。その価格を週末も平日も維持したほうがより信頼されると思う」と、ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は説明する。消費者から見て、上がりすぎていた価格を見直し、ユニクロらしい低価格に戻す、いわば原点回帰だ。

2度の下方修正で柳井社長も憮然

ただし、一度去った顧客を呼び戻すのは、容易でない。一連の価格見直しは2月には始めていたものの、客数は2月に前年同月比1.8%減、3月も同8.6%減と、落ち込みが続いている。

「今期の業績は不合格。30点」──。4日7日の中間決算説明会で、同社は2016年8月期業績予想について、今期二度目となる大幅下方修正を発表。柳井社長は憮然とした表情を隠さなかった。

中間期では、売上高が海外出店拡大で1兆0116億円と前年同期比6.5%増えたが、営業利益は同33%減の993億円と失速。通期は前期比27%減の1200億円に落ち込む見通しだ。期初2000億円、第1四半期決算発表時1800億円の、いずれも過去最高益予想から、一転して大幅減益になる。

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