ユニクロの「EC強化」がもたらす意外な波紋 その売り上げは一体どこで上がったものか
ファーストリテイリングが運営するカジュアル衣料品店「ユニクロ」がこの春、自身が「店子」としてテナント入居する百貨店やショッピングセンター運営会社、駅ビルの管理会社などの「テナントオーナー」向けに示したある依頼が、関係者の間で波紋を呼んでいます。
「お願い(EC関連売り上げに関しての取扱い)」という書きだしで株式会社ユニクロの記名が入った文書には、今年2月下旬からユニクロの全国120店舗(順次拡大)で本格的に始めたセミオーダージャケットについての販売の流れと、それに伴って発生する売り上げをテナントオーナーにどう報告するかの考え方が記されています。
セミオーダージャケットは、袖丈や色など192パターンの中から顧客の体型や嗜好に合うジャケットをサンプルの試着や店舗スタッフによる採寸で探し、ユニクロのECサイト「ユニクロオンラインストア」で注文する商品。価格は税別で1万4900円。注文後7日で指定の場所に届きます。
テナントオーナーにとっては小さくない意味をもつ文書
冒頭の話とかかわってくるのは、顧客の支払い方法です。セミオーダージャケットは、原則として「クレジットカード」「代金引換」「ユニクロオンラインギフトカード」「店頭レジ」という4パターンでの決済が選べるのですが、同文書には店頭レジで注文・決済した場合については、ユニクロがテナントオーナーと結んでいる契約に基づいた「売上歩合賃料の算出根拠として売上高として報告する」との旨が記されています。
売上歩合賃料とは店子とテナントオーナーの間での取り決めに基づき、店舗の売り上げに応じて変動する賃料です。テナントオーナーは、ほかよりも売り上げをたくさん稼ぐ店子とこの契約を結んでおけば、手元に入ってくる賃料が大きくなるメリットがあります。逆に店子の売り上げが縮小・低迷すると賃料もそれに応じて小さくなってしまうリスクがあります。最低保証賃料が契約条項に含まれているケースも少なくないようです。
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