世の中の「ランキング」は本当に信頼できるか

偏差値、幸福度、モテる職業…それって本当?

日本の大学が大きく順位を落としたことで話題になった世界の大学ランキングなども同様です。特に英国のタイムズ・ハイヤー・エデュケーションによるランキングは世界で最も権威のあるものですが、その重みづけは論文数や外国人学生比率などに大きく比重を置いており、卒業生のビジネスや行政分野での活躍などはあまり考慮されていません。また、大学院評価の色彩が強く、学部の評価データとしては適切ではありません。その結果、日本人ビジネスパーソンの多数を占める大学学部卒の人間にとっては、あまり実感値の湧かないランキングとなってしまっているのです。

基データがしっかりしていて、なおかつ権威のある機関が発表したランキングですらこうですから、その他のランキングなどはもっとあてになりません。たとえば雑誌がよく行う「合コンしたい企業ランキング」や「結婚したい相手の職業ランキング」などは話半分に見ておくべきでしょう。そもそも統計学的に有意なサンプル数をとっていることも少ないですし、どのようなサンプルを対象にどのような質問をしたか(例:純粋想起なのか助成想起なのか、複数回答可なのか不可なのかなど)も不明であることが多いからです。

アンケート系のデータでは、そもそも質問された相手が正確に、あるいは正直に答えるかという問題もあります。たとえば男性に「これまで付き合ったことのある異性の数は?」と質問すると、多数の人は実際よりも多めに答えるといわれています。「付き合う」の定義が人それぞれという別の問題もあります。そうしたさまざまな事情が重なって、結局、正確な数字やランキングは誰にもわからないのです。

アンケートはいくらでも「操作」できる?

筆者のある知人などは、「アンケート結果やランキングは、誘導的な質問をしたり選択肢を操作したり、重みづけを変えるなどすることで、その気になればいくらでも操作できる」と言っています。そのくらい、数字というものは実はあてにならないことが多いのです。財務諸表という非常に大事な公的データですら、多少は意思を持って数字を変えることは可能なのです。

数字やランキングにあまり疑問を持たずにいた方は、こうしたことをぜひ強く意識してください。

よくMBAの数字系の科目(アカウンティングやファイナンス、定量分析など)では「数字は人を動かすうえで大きな武器になる」ということを伝える一方で、

「数字だからこそ疑え」

「うそには3種類ある。普通のうそと真っ赤なうそと統計だ」

などといった戒めの言葉を強調します。

こうした基本を押さえているのとそうでないのとでは、ビジネスパーソンとしての生産性に非常に大きな差が出てしまいます。さまざまな機会を通じて、ぜひそうしたセンスを身につけたいものです。

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