ミセスパンプキンは方向音痴
わが母、ミセス・パンプキンは残念なことに、史上最強の方向音痴であり、私が血を流しながらフラフラているのに、全然、ホテルに着かないのだ。
最初は母の介抱に感謝していた私も、いい加減に腹が立ってきて、「息子が死にかけてるのに、徒歩2分のホテルに10分以上かけるんか!」と逆切れして、さらに流血量が増えたのだが、私が「こんなに歩くんやったら、もう腹立つからこのまま予定どおりコロッセウム見に行く!」とタクシー乗り場に向かおうとしたところ、さすがに母も怒って「人に聞いてくるから待ちなさい!」と怒鳴られてしまった。そしてやっとこさホテルの名刺を何人かに見せてたどり着き、ベッドで安静にしながら、現在、本コラムを「東洋経済オンライン」の親愛なる読者の皆様に捧げているわけである。
グローバルエリートが急に倒れた理由
さて、このようなことが起こったのは、私の人生で初である。いつも健康で医者いらずが35年続いた私だが、誕生日をひと月後に控えてこんな急な逝き方をするのか、と一瞬、死が頭をよぎった。
なぜこうなったかだが、確かに、昨日、私はボルドー旅行から帰ってきて、しかも一睡もせずフランスからローマに飛び、炎天下の太陽と水不足に加え、大量の荷物を運んで疲れていた。また機内でも「グローバルエリートは見た!」のコラムを書いていたうえ、空港からローマ市街地に向かうバスの中でイタリア人のおじさんが大声で電話していて、私の神経を逆立てていた。
そしてホテルのシャワーを浴びてさっぱりした後、母とコロッセウムにむかう途中、おいしそうなピザ屋さんを見つけて入ったわけだが、直前に浴びた大量の直射日光も影響してか、そこでこのような事態を招いてしまったのだ。
「東洋経済オンライン」の読者の皆様の中で、多くの方が私と同世代でいらっしゃることだろう。35歳というのは、今までと違って身体への無理が実際外に現れるお年頃である。親愛なる読者の皆様におかれましては、私のように突然倒れて大流血にならないよう、くれぐれもご無理なさらず、ご自愛いただきたい。
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