地球温暖化は農業と漁業に何をもたらすのか 環境の変化に合わせた適応策が必要に

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左は白く濁ったおコメ。右は正常なおコメの写真。イネの穂が出た後の20日間の平均気温が26~27℃を超えると、左のような白く濁ったおコメが多くできるようになる(出典:地球温暖化と農林水産業ホームページ)

高温によってコメの品質も悪くなることがわかっています。穂が出てからおコメが実るまでの期間が高温だと、コメの中にでんぷんが十分に蓄積されず、コメの全部あるいは一部が白くなる「白未熟米(しろみじゅくまい)」が発生する原因となります。こうしたコメは、見た目が濁っているだけでなく、歯応えも悪く農家にとっては痛手です。

特に2010年は、高温が原因で、西日本を中心に、品質の良い一等米が取れる比率が下がり、農林水産省によると、一等米の比率が62.0%と低い数字になりました。

これらの作物への影響を軽減するために、農業の現場ではさまざまな対策を取っています。短期的には肥料のやり方を変える、田植えの時期を遅らせる、水の出し入れの調節を工夫する、そして温室栽培の場合は温室の環境を改善するなどの対策が挙げられます。

「暑さに強い」コメの新種も登場

また、長期的な対策として、高温にも強い品種を新たに作り出そうとしています。たとえば、九州や北陸地方では「にこまる」や「こしいぶき」といった「暑さに強い」品種も作られています。実際に、イネの高温耐性品種の作付け面積は毎年約1万ヘクタールずつ増加していることもあって、農林水産省の発表によると、2015年産の一等米の比率は82.4%まで上昇しています。

しかし、現時点では高温を避けるために、より寒い地方に移動して栽培するような具体的な対策を取っている様子はなさそうです。

気温だけではなく、その土地の降水量や土壌が合うかどうかによっても育ちやすい作物は違ってくるため、単純に高緯度や標高の高い場所に移動すれば解決するとは限らないのでしょう。また、高温障害が問題になり始めたのは近年のことです。今後もずっと気温が上がっていくと確信できなければ、「もっと涼しいところで栽培してみよう」という対策は取れないのではないでしょうか。

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