将棋界が直面する未曾有の危機とは何か? 将棋ソフトに右往左往、三浦九段は完全シロ

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だが、その裏で、「三浦九段は対局中の離席が目立って多い」とか「三浦九段の指し手が将棋ソフトに酷似している。将棋ソフトとの指し手の一致率は9割以上」とプロ棋士の間で噂になっていた。「三浦九段の復活は対局中に将棋ソフトにアクセスしているからではないか」と不正が疑われるようになった。

疑惑の決め手となったのが、竜王戦挑戦のかかった久保利明九段との7月下旬の対局である。「約30分の離席があった」との久保九段の言葉を受けて、複数の連盟幹部が三浦九段を疑い始める。

最高検察庁の元トップである但木敬一弁護士を委員長とする第三者委員会は、2カ月かけて三浦九段の疑惑を検証。三浦九段や家族のスマートフォンやパソコンの解析を外部の専門家に委託するとともに、竜王戦の挑戦者決定戦の4局について、指し手の一致率が高いと言えるかどうかを実際に確かめるとともに、対局者やトップ棋士への聞き取り調査をした。

「30分の離席」はそもそもない

12月26日に公表した調査結果は「疑惑の発端となった『30分の離席』はそもそも存在しない」という驚愕のものだった。久保九段との対局では計2時間40分の離席があったが、重要な局面での離席は6分、3分、3分といずれも短かった。翌日の会見で谷川会長は「初動でしっかり確認しておけば」と悔しがるとともに、連盟の決定的な落ち度を認め、肩を落としながら謝罪した。島朗(しま・あきら)常務理事も「30分離席の確認ミスが痛恨」と眉をひそめた。

日本将棋連盟の会見。左から島朗常務理事、青野照市専務理事、谷川浩司会長(撮影:今井康一)

「一致率」について、第三者委員会は「同一ソフト・同一局面・同一棋譜でも指し手の一致率には約20%の違いがある」「三浦九段よりも一致率が高い棋士も存在するが何ら問題視されていない」「検証の対象とした4局で、対局相手やトップ棋士に聞き取り調査をしたが、三浦九段の指し手に不自然さはない」とし、一致率の高さが不正の証拠とはならないと断定した。

連盟の谷川会長は「同一局面・同一棋譜でも一致率に20%もの違いが生じるとは思わなかった」と将棋ソフトへの認識の甘さを認めている。

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