将棋界が直面する未曾有の危機とは何か?

将棋ソフトに右往左往、三浦九段は完全シロ

青野専務理事は、「世間に誤解があるようなので」と前置きしたうえで、「『三浦九段に連盟が休場を強要した』という事実はない。三浦九段が休場を申し出たので、『であれば届け出を出してくれ』と言ったまでだ」と強調したが、そう言わざるを得ない「場の雰囲気」を作ったのであれば、言わせたのも同然だ。

もし棋士を全面的に信用するならば、どこにどんな記事がいつ出ようが、連盟は全力で棋士を守るべきだろう。つまり、三浦九段を出場停止にする以外の選択肢もあったはずである。

連盟はむしろ「性善説」に徹するべき

将棋ソフトの発達で棋士の間に疑心暗鬼の心が生まれているという(撮影:今井康一)

今回の騒動を奇貨とし、連盟は「今まで性善説でやってきたのがよくなかった」として金属探知機の導入に踏み切った。

だが、三浦九段がシロ判定だったことから考えると、「連盟はむしろ性善説を徹底すべきだった。連盟の性善説はいつの間にか不公平なものとなっていた」とも言えるのではないか。

三浦九段の「不正はしていない」という言葉を信じず、久保九段の「30分離席」という曖昧な記憶を信じたのはなぜだったのだろうか。どんな棋士も平等に信用する信念が連盟幹部に徹底していれば、今回のような冤罪まがいの騒動は起きなかったはずである。

第三者委員会は「将棋ソフトが力をつけてきて将棋界は未曾有の危機に直面している。疑心暗鬼の心が棋士に生まれている」とした。しかし本当は将棋ソフトが力をつけてきたからではなく、連盟が棋士の研究や勝負への真剣さを信頼できなくなってきていることこそが、将棋界にとっての未曾有の危機なのかもしれない。
 

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