日本にとってトランプ政権は何がヤバいのか ポピュリズムの波が引き起こす経済混乱の渦

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トランプ政権の閣僚メンバーが元軍人だらけなのも不安要素だ。元軍人に加えて、極右の思想を持ったメンバーが側近にいるのも不透明感を高めている。首席戦略官兼上級顧問(新設)候補のスティーブン・バノンは極右思想を売り物にしたサイトの運営者で、不法移民への圧力など強硬な態度をとってくる可能性が高い。

司法長官候補のジェフ・セッションズも移民や中絶、同性婚に対して厳しい姿勢を示している。国防長官のジェームズ・マティスは狂犬と呼ばれる元海兵隊少将で、イランに対して厳しい姿勢を示している。

ちなみに地球温暖化対策に対しても、トランプ政権は石油産業のプロパガンダを信じて危機感をまるで持っていない。環境保護局長官のスコット・プルイットも地球温暖化対策の規制に反対し、パリ協定離脱を打ち出している。

まさに、政治的な思想という点でも、トランプ政権はこれまでの世界の方向性を根底から覆そうとしている。とりわけ、日本に対しては日本政府が一番突かれたくない部分、すなわち安全保障と貿易障壁の問題を真正面から切り崩してくる可能性がある。

トランプ氏はツイッターの発信に長けている

もうひとつ警戒しなければならないことは、トランプ氏が自ら「ツイッター」で政策の方針などを情報発信していることだ。根拠もない情報、あるいは周辺スタッフや軍関係者のフィルターが通っていない情報が、ダイレクトに流れてくる可能性もある。

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しかも、トランプ氏はその使い方や効果的な情報操作、洗脳のノウハウに熟知している。こういう政権は、結局のところポピュリズムに沿った政治となり、方針や政策がコロコロ変化していきやすい。

これまでポピュリズムの最後は、結局ヒトラーであり、ムッソリーニのような政権になるしかなかった。世界一の軍事力を持つ米国がファシズムに走ったらどういうことになるのか……。少し前までは、ありえないと一笑に付されていた話も、これからは可能性の一つとして真剣に考えなければならない時代となってしまった。

トランプ政権の今後4年間は、ブラックスワン(黒い白鳥、ありえない事態が起こることの例え)の連続となるかもしれない。ドル、株ともに変動幅の大きな、荒っぽい金融マーケットが続きそうだ。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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