その負い目から「年末はバタバタしておりまして……」「賀状をいただいていからの返信でもうしわけございません。実は……」などと書きつづりたくなる気持ちは分かる。しかし、すこし冷静になってほしい。この言い訳を受け取る方は、たまらない。言い訳を書かれれば書かれるほど、「年末バタバタしていた? 俺だって忙しかったよ!」「要するにその程度にしかうちのことを見てないということか」など、取引先や関係会社のプライドにいらぬキズをつけてしまう危険性があるからだ。
だからたとえ負い目を感じても、言い訳めいた弁明はせずシンプルな文面を心がけよう。繰り返しになるがむしろ大事なのは「速やかに」返信することだ。言い訳を考えている暇があったら、さっさと書いて、投函、または送信しよう。
年始の挨拶回りは顔つなぎの意味もある
営業職の場合、仕事始めで最も大事な仕事がこれかもしれない。大切な取引先を中心とした、「年始の挨拶周り」である。よくあるのが「謹賀新年」と印字された正月用の名刺を持って、取引先に訪問するスタイル。不在の場合は、その名刺を置いていくことで「挨拶にきた」という爪痕を残す、というわけだ。
実のところ、年始の挨拶周りは、具体的な商談になることも少なく、他愛のない雑談を交える程度。一件につき十分程度しかかけない、セレモニーめいたものであることが多い。にもかかわらず、上司などを帯同させ、場合によっては部署全員が集まって、ずらずらと挨拶に向かう会社が後を絶たない。新人社員にしてみたら「なんというムダ!」と感じる人もいるだろう。
しかし「まったくのムダじゃない。年始の挨拶周りは上司や部下を取引先に紹介できる貴重な機会ですよ」と専門商社に勤めるBさん(45歳)は言う。「何もない普段の商談時に『なんとなく上司を連れてきました』『今年の新人を紹介しにきました』とやっても、『知るかよ!』と思われるかもしれません。けれど、『新年の挨拶まわりなので連れてきました』というのは十分な大義名分になる。たとえそのときは顔を見せて、名刺交換するだけでも、その後のコミュニケーションがずっととりやすくなりますからね」(Bさん)
この効果が現れるのは、たとえば「担当替え」をするときだという。得意先であればあるほど、新たな担当者に業務を引き継ぐことは億劫なものだ。それをいきなり伝えるのは気が引けてくる。それだけに「実は正月の挨拶回りで同行させていただいていましたが、来月からは御社の担当を山田がさせていただくことになりました」などとひと言添えられるメリットは大きい。
引き継ぐ側も、取引先側も「多少なりとも知っている相手」なら、わずらわしい引き継ぎに対する心理的ハードルがぐっと下がるからだ。
だから新人社員が得意先への挨拶まわりで、意識すべきは「なるべく顔と名前を覚えてもらうこと」に尽きるだろう。何も特別なことをする必要は無いが、元気に挨拶して、しっかりと取引先の話にはあいづちをうつなど、フレッシュかつキビキビとした態度でアピールしておきたい。
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