観客激増の横浜DeNAが乗り越えたい課題

横浜DeNAベイスターズ・岡村新社長に聞く

――総務省からDeNAへの転身ですが、総務省の消費者行政課に所属されていたときに、南場さんと出会ったそうですね。モバゲーユーザーの青少年が犯罪に巻き込まれたことが問題になるなど、適切でない利用者の閲覧を制限するフィルタリングの普及が進んだ時ですか。

そうです。私は監督官庁の担当者、南場さんは監督対象の事業者の代表という立場でした。南場さんは青少年が健全にインターネットゲームを利用出来る環境作りに真面目に、積極的に取り組まれていたと思います。

転職の踏ん切りが付かなかったが…

――その頃から役人を辞めてDeNAに来ないかと誘われていたそうですね。南場さんからは7年越しのラブコールを受けていたとか。

正確には、担当部署が変わってからのことです。南場さんとは家族ぐるみのお付き合いになったものの、私は役人の仕事が好きだったので、なかなか踏ん切りが付かなかったんです。

――踏ん切りが付いたきっかけは何だったのでしょうか。

ある時、南場さんがご自分の別荘に招待して下さったのですが、私は海外出張が立て込んでいて疲労が溜まっていたため、子供を寝かしつけているうちに自分も寝入ってしまったんです。でも南場さんは私と話をするために真夜中過ぎまで起きて待っていてくれた、という話をあとから妻に聞きまして。この7年間、顔を合わせるたびに誘われ続けていましたし、一役人にそこまでしてくれる南場さんの気持ちに、もうそろそろ応えるべきではないかと思ったんです。 

DeNAの南場智子オーナーのラブコールを受けて、ネット業界、そして球団経営の世界に飛び込んだ(撮影:尾形文繁)

――そもそも官僚になった理由は?

学者を目指していましたが、学者は向かないと気が付いたからです。子供の頃から日本史が大好きで、日本史の学者になるつもりで大学も文学部を選んだのですが、入学して間もなく天安門事件が起きました。それで、日本史なんぞをやってる場合じゃない、歴史はアジア全体の視点で見なければと。中でも中国だと。でも実際に研究者としてやっていくにはテーマを決めなければいけません。そこで選んだのが、「唐末五代の支配層だったトルコの一族の盛衰」です。

ただ、このテーマを選んだことが、学者に向かないと判断するきっかけになりました。なにしろこういうテーマだと誰も他に研究者がない。だから研究成果が優れたものなのかどうかは誰にもわからない。資料の解釈も自分次第ですから、強い自制心と、自分の研究は価値あるものなのだという信念、場合によっては思い込みが必要なんですね。でも自分にはそれがない。だから学者には向かないと思ったんです。

――なぜ、郵政省を選んだのでしょうか。

新しいことがやれそうだったんです。当時郵政省はマルチメディア官庁を自称していましたから。私が大学院を修了した年にインターネットの普及が本格化しまして、自動車電話から携帯電話に転換していく時期でもありました。係長時代には水も土地も少なく、製造業の誘致に向かない沖縄を、情報通信で経済振興を図る仕事もしました。

――大阪府の箕面市に2年半、出向していて、地方自治体も経験しています。郵政省でも地方自治体への出向があったんですね。

2001年に自治省と統合して総務省になったからです。郵政省出身で地方自治体の政策推進の担当部長として出向したのは私が最初です。政策企画、行革、財政、人事、それこそ何でもやりました。市長、助役の次くらいのポストでしたので、駅前再開発の調整や行革をめぐって労組との夜通しの団体交渉ですとか、市議会の答弁も経験しました。

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