甲子園優勝校、地元の「祝勝セール」は厳禁? なぜ一商店の営業努力にまで口を出すのか

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高校野球の「商業性」を認めない高野連の意図とは(写真:ま~ぼう / PIXTA)
プロ野球では、優勝パレードや祝勝セールがよく見られる。ところが、高校野球では地元での凱旋パレードも地元商店の祝勝セールも、高野連より自粛が求められている。郷土のヒーローたちの凱旋をお祝いしたいという声も上がるなか、なぜ高野連は厳しい姿勢を見せるのだろうか。『高校野球の経済学』を上梓した中島隆信教授が、歴史的経緯も踏まえ分析する。

商店にも祝勝セールの自粛を求める高野連

好評2刷。本書を読めば、高校野球観戦が何倍も楽しくなる! 高校スポーツのひとつにすぎない高校野球がなぜ国民的行事となったのか? 汗と涙の裏側にある特殊構造に迫る

夏の甲子園大会は年1度の全国大会であり、その優勝校は全国4000余の参加校の頂点に立つ。まさに日本一の栄誉に輝くわけで、選手たちは国民的ヒーローになる。

郷土の誇りと地元は沸き返り、監督や選手たちはオープンカーに乗って目抜き通りを颯爽とパレード……と思いきや、実態はこれとはまったく異なる。

2015年のセンバツ大会で、敦賀気比高校は北陸勢初となる優勝の栄冠を勝ち取った。しかし、2015年4月3日付けの『福井新聞』によれば、「敦賀市内には選手の凱旋パレードを求める声や優勝記念セールを模索する店も。ただ日本高野連は過度な祝賀行事の自粛を要請しており、選手が帰郷した2日、河瀬一治市長らが会見で市民に理解を求めた」とある。

そして、その理由として、「華やかなパレードは高校生を英雄扱いし間違った心情を植え付ける」との高野連の見解を紹介している。

同様のことは、2001年の選手権大会で滋賀県代表の近江高校が準優勝した際にも起きている。地元商店街が祝勝セールを企画したところ、県高野連から「純粋な青少年育成を目指す大会の趣旨に反する」と待ったがかかったという。なぜ高野連はこうした対応をするのだろうか。

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