三枝:昔は完全台本の番組が多かったですよね。ステージに上がっても台本どおりにやってくださいという時代が長かったけれど、「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系列)から、台本はあっても、そこから少しずつ逸脱する面白さが出てきた。「8時だョ!全員集合」(TBS系列)のドリフターズとひょうきん族の視聴率戦争の時、完璧な台本を演じていたドリフに対して、どこか楽屋オチ的に台本からずらしていくひょうきん族が最終的に勝ったのが時代の転換点だったのではと感じます。それ以降はその場でPDCA を回すような時代になったのではないかと思います。
木本:ドリフからひょうきん族になって、よりフリーなスタイルが台頭してきて、番組づくりもまた少し変わっていますが、世の中というか時代が変わっているんでしょうか。
三枝:突出した個よりもグループの力へ変化ですね。ひな壇芸人という言葉が、いつのころからか出てきたように、全体のイメージで物事を進めるスタイル。そのほうが周りから見て楽しそうだなという感じの作りが多くなりました。ビジネスの世界でも、チームワークを大切にして仕事を進めていくのはいまや普通に見られる光景です。
渡辺直美のギャップ力に学べ
木本:三枝さんは「ギャップ力」の大切さも強調されています。僕も長いことやっているので「ギャップ力」は確かに必要だなと思いました。
三枝:どんなジャンルであれ、ある部分が特化してすごい人、優れた人がいます。でも、1つがすごいけだけではダメで、意外な一面があると、人間の幅だったり、魅力が増します。その人なりの人間性を感じてもらいやすいのです。ギャップが大きければ大きいほど、かわいげのような人間性がついてくると思います。
木本:なるほど。高学歴のお笑い芸人が増えていますが、その芸人が頭だけではなく運動神経もよいとしたら、それはかわいげにならない。プラス方向だけではギャップが作りにくいということでしょうか。
三枝:頭がよくて運動できて、顔もよい人に対しては、「それはあなただけでしょ」と感じて人間は嫉妬してしまう。ですが、その人が太っていたならば、いいギャップになってかわいげが生まれるでしょう。
木本:三枝さんの本には、部屋が汚いアイドルはいいギャップにならないとありました。
三枝:片付け下手はネタにはなるけど、かわいいとは思われないからですね。自分の持っているアイテムの中で、どれがプラス面のギャップになるかを考えるといいと思います。
木本:整理整頓がまったくできなそうな女性が、実は部屋がとてもきれいというギャップのほうがいいわけですね。
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