日本株で儲けるには日経平均だけを見るな 外国人投資家の「本気度」を読むツボがある

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見てきたように、足元の相場展開では、外国人投資家による先物買いのほとんどがTOPIX先物となっている。本当のところ、「日本株を中長期的な投資スタンスで買いにきている投資家の存在」がどこなのかはっきりわからない(中東の政府系ファンドや欧米の年金系かもしれない)。

もちろん、短期系とされるCTA同様、ヘッジファンドの運用の一つであるトレンドフォロー型のシステム売買のプログラムが日本株買いで走っているのかもしれない。さらに、トランプ次期米大統領誕生を受けて、いわゆるグローバル・マクロ型のヘッジファンドが日本株に資金を振り分けている可能性もある。投資家を断言できないのは筆者の力不足だが、いずれにせよ、短期的なCTAなどとは異なる投資家が日本株を買っている状況は、日本株にとってポジティブと言えよう。

相場持続のカギは「外国人のTOPIX先物買い」か

日本株への影響力については、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の存在も取りざたされるが、同法人の「窓口」とされる信託銀行はトランプラリーでは一貫して売り越している(5138億円の売り越し)。12月第2週(5-9日)は、信託銀行が現物株を2997億円買い越していたが、一方で、同じ週に先物を3133億円売り越していた。

この詳細を確認するとTOPIX先物を2958億円売り越していることから、これは、9月最終週で行った期末の配当再投資に絡んだTOPIX先物買いのポジション(2999億円の買い越し)を現物株に置き換えたと推察できる。つまり、9月末に買ったTOPIX先物のポジションをそのまま現物株に置き換えたことから、市場にとってはほぼニュートラル、影響は限定的だったと言えよう。

これらの需給面を整理して、引き続き今週以降の東京市場をみていきたい。外国人投資家のしっかりとしたTOPIX先物買いが途切れない限り、日本株はしっかりとした値動きが続くだろう。

投資部門別売買動向は発表まで1週間超のタイムラグがあることから、これだけで相場の天井を確認することは難しい。だが、大きな流れを捉えることは可能だと考える。年初の日本株急落が頭に残っていることで利益を確定しようという思惑も働き、年末にかけて日本株の上値は重くなるかもしれない。だが、筆者は今は急落を警戒するような地合いではないと見ている。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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