日本株で儲けるには日経平均だけを見るな 外国人投資家の「本気度」を読むツボがある
ただ、外国人投資家の売買動向を見る限り、日本株はそう簡単には崩れそうもない。それはなぜか。
前出のように、トランプラリー開始以降、外国人投資家は日本株を3兆5353億円買い越している。これを細かく見ると、現物株が2兆2533億円、先物が1兆2820億円だ。そして、さらに先物の内訳をみると、TOPIX先物(ラージとミニ合算)が1兆1166億円、225先物が1654億円となっている。これまでの寄稿でもふれたが、225先物を手掛けるときは、比較的短期的なトレードを意識した売買が多い傾向がある。
これはCTA(コモディティ・トレーディング・アドバイザー=商品投資顧問業者。実際はヘッジファンドの一種とされる)と見られる売買をイメージするとわかりやすい。
膨大な売買を手掛けることで値が飛ぶような状況、例えば6月24日の英国EU離脱の際の急落相場や、11月9日のトランプ大統領候補が優勢と伝わった際の急落だ。すべてがCTAによる売買とはいえないが、市場関係者のイメージでは、相場が乱高下している際に積極的な売買を手掛ける集団といったところだろう。こうした場合、市場では先行き不透明感が非常に高くなり、日本版恐怖指数といわれる日経VI(ボラティリティ・インデックス)は急騰する。
「TOPIX先物の買い」は誰が主導しているのか
一方、TOPIX先物は、比較的投資スタンスの長い投資家、つまり年金筋による買いと見る説がある。一般的に言うと、その流れはこうだ。
まず日本株全体をほぼカバーしているTOPIX先物をまとめて買う
↓
先物の限月交代のタイミング(今であれば17年3月の第2週金曜日)で、そのまま先物を保有するか、売却するか、先物から現物に置き換えるかの選択を行う
といった手順になる。このとき、市場は平穏なままで、日経VIは目立った動きはさほど見られない。ちなみに個人投資家は、日経平均のほうが親しみを感じるかもしれないが、中長期系の外国人投資家はTOPIXを好むとされる。理由として、日経平均は225銘柄で構成されており、その比率によってファーストリテイリングやソフトバンクグループ、ファナックなど一部の銘柄の値動きが大きく影響する。つまり指数を動かすにはもってこいかもしれないが、極めて歪(いびつ)な指数であることを、外国人投資家は認識している。歪な指数だからこそ、CTAなど短期的な売買を手掛ける投資家は225先物を好むとされる。
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