民主主義の復興はポピュリズムの先にある ジレンマから脱する3つの方法

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この1年間、国民投票の伝統がほとんどないヨーロッパの2つの大国、英国とイタリアにおける国民投票が、2つの政府が進めようとした政治的選択をはねつけた。英国での国民投票は欧州連合への加盟に関するもの、イタリアは憲法改正に関するものだった。

両方の国民投票の結果は、ローマではマッテオ・レンツィ、ロンドンではデービッド・キャメロンの首相辞任を促した。両国とも、議会をその国の最高の立法機関としている。にもかかわらず国民投票を行った。国民投票は、今やどこでもポピュリスト政党がお好みの方法である。なぜなら、彼らは、自分たちこそが強い支持を得て、大衆の反乱を導けると信じているからだ。代議制には「政治の継続性を維持できる」「経験と知恵が蓄積されている」という説得力のある弁護が存在するのだが、主流政党に人気がない時代には、そんな弁護も冷笑を呼び起こすだけだ。

「国民国家が戻ってきた」

主流政党は、定期的に(普通は抗議や論争の後に)、市民の政治参加を広げようと試みてきた。しかし、『歴史の終わり』の著者であるフランシス・フクヤマが書いたように、「多くの市民は、複雑な公共政策問題に取り組む時間も、経歴も、趣味もない。すなわち、参加の拡大は、単に良く組織された活動家団体がより多くの力を得るための道を開いてきた」ゆえに、政党が数回以上行うような会議に、多数の市民を呼び込むことはほとんどない。

参加した国家数の点で世界最大といえる民主主義の実験は、1950年代以来着実に発展してきた欧州連合(EU)である。ところが、過去10年、多くの加盟国政府は自国の有権者ならびにEU懐疑派政党に突き上げられ、いったんは委ねた意思決定の返還を要求している。EUは明らかに停滞期を迎えた。フランスでどんどん強力になる国民戦線のマリーヌ・ル・ペンが主張するように、「国民国家が戻ってきた」のだ。

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