本当に金利が上昇すれば、日本財政はもたない

米国の金融緩和終了後の世界は、どうなるのか

為替先高観が消え 外債投資に向かう

新しい世界均衡の中で、日本ではどうなるだろうか。日本の金利上昇が遅れて、内外金利差が拡大すれば、円安になる。そして、将来に向かっては円高期待が形成される。

ただし、それは最終均衡ではない。日本銀行は、2年後にはインフレ率が2%になると約束している。これは、ほぼ先進国共通の水準だ。したがって、これが実現されれば、金利も先進国の標準的水準になる。最近のアメリカの状況を参照すれば、10年国債利回りは最低でも2.5%程度になるだろう。図に示す2005年ごろの水準を標準と考えれば、4%を超えることもありうる。

内外金利差が消滅すれば、金利平価式によって、為替の先高観も先安観もなくなる。これには、次のような重要な意味がある。

これまで日本の金融機関は、日本国債という利回りの低い資産の保有で満足してきた。理由は、外債投資に為替リスクがあるためだ。日本のインフレ率は他国より低く、フィッシャー方程式によって金利が低くなる。金利平価式からいえば、これは、将来の為替レートが円高になる状態だ。だから海外投資をすると、為替差損を被ることになる。海外投資をすれば、高い利回りが実現できるので一見有利のように見えるのだが、為替差損を被るので、結局、国内投資をした場合と同じ結果になる。だから日本国債に投資をしてきた。

しかし、内外金利差が消滅すれば、この状態は一変する。金融機関がこれまでのように国債を保有し続けるかどうかはわからない。日本国債から外国債への転換が起こる可能性は、次の理由で、非常に高い。

金利平価式で規定される為替変化率は数年先までのものだ。それより長期を考えれば、日本経済の衰退によって「日本売り」が起こり、円安になる可能性が高いのである。この点を考慮すれば、円建て資産を保有するより、外貨建て資産を保有するほうが合理的だ。

日銀は、6月に公表した「通貨及び金融の調節に関する報告書」の中で、金融緩和で、金融機関の資産が貸出やリスク性の資産にシフトする「ポートフォリオ・リバランス」が期待されるとした。そこで主として考えられているのは、国内貸し付けの増加だろう。しかし、それよりは外債投資が増える可能性が高い。

ところで、以上で述べたすべてのことは、「2%のインフレ目標が達成されれば」という仮定の下の話だ。この目標が実現できるか、市場は半信半疑なので、実際には外債投資へのリバランスは起きていない。今のところ、市場は将来のインフレ率について判断がつきかねている。

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