キーマンが去ってもUSJの「絶好調」は続くか 「ポスト森岡」時代に求められる采配とは?
一方でUSJは、開業当初のウリだった「映画」へのこだわりからはすでに脱却しており、「足りないコンテンツは外から持ってくるという発想が強い」(井手氏)。その究極の形が、任天堂と共同開発する新エリアといえるだろう。
「外からコンテンツを持ってくる発想は、実は遊園地に近い。遊園地はもともとオリジナルのキャラクターを持っておらず、アニメや戦隊ものといった外のキャラクターを持ってくる。ディズニーリゾートを代表とするテーマパークとは異なる」(井手氏)。
問われるヒット施設の目利き力
もちろん、双方の戦略に利点があり、正解があるわけではない。USJは森岡氏の主導で「個」の施設を際立たせ、さらにイベントの話題づくりも駆使して、集客することに成功した。今後の課題は、それをどのように続けていくかに移る。
ユー・エス・ジェイは、ゴールドマン・サックス系の投資ファンドが主導して2009年に上場を廃止、2015年秋に米ケーブルテレビ大手のコムキャストの傘下に入った経緯がある。投資ファンドの出資はまだ残っており、近いうちにユー・エス・ジェイが東京証券取引所に上場することで、株式を売却するとの見方が根強い。
株式市場から調達する資金をニンテンドーワールド、そしてそれ以後の施設にどうつなげていくのか。ユー・エス・ジェイにはヒット施設を連続して投入する目利き力が問われることになる。
またUSJは、年間パスを利用する入園者数が「数十パーセント」(同社広報)いるという。元々の1万円台前半(大人、税込み)からは徐々に値上げしているが、足元で2万2800円(同)と、ディズニーランドやシーの6万3000円(同)の3分の1近い安さは魅力で、年間パスの利用者拡大が全体の入園者数を底上げしているとの見方も強い。今後、そうした価格戦略も改めて問われそうだ。
ポスト森岡時代にUSJが勢いを持続するかは、次の手をどう打ち続けるかにかかっている。
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