長寿化に応じた「長く働ける社会」が必要だ

働く意欲のある高齢者が増えている

結局、長期化した人生に対応できるように働く期間を長くして、年金に頼る期間を短くするしか解決策はない。要は高齢者が働いて所得を得られるようにすればよいのである。栄養状態の改善や医療の進歩のお蔭で、健康な高齢者は増えているのだから、働く意欲のある高齢者は仕事をすることで生活が維持できるのであれば、それが望ましい。

日本では、少し前までは就職氷河期などといわれて、若年の失業が大きな問題だった。そうした中では高齢者のために仕事を確保するということは、どうしても若者の仕事を奪うことになってしまうことが、懸念された。しかし、今や新卒者の就職戦線は空前の売り手市場だ。今後も若年人口の減少が続くので、失業よりもむしろ人手不足が問題になるだろう。高齢者に働いてもらうことには、日本経済にとって労働力不足の緩和という意味がある。

筆者も公的年金の支給開始が視野に入る年齢になったが、健康な間は仕事を提供してもらうほうが、やることがあってよいと思う。働いて所得を得ることは、自らの力で生活を支えるという心のハリや、生きがいをもたらすというメリットもある。何もすることがなくなってしまうということは本人だけの問題ではない。筆者が毎日家の中をウロウロしているというのは、家族が最も恐れている悪夢である。

日本では働く意欲のある高齢者が増えている

正直に言って、「毎年100万人以上の高齢者を受け入れるだけの仕事がどこにあるのか」という問いへの答を筆者は持ち合わせていない。しかし、年金給付の資金を使って、どういう仕事を高齢者にしてもらえばよいのかという企画立案も含めて高齢者にやってもらえばよいだろう。どのみち高齢者にはそれなりの生活資金を提供しなくてはならないのだから、何の見返りもなく年金を支給するよりは、その資金を賃金として払って、少しでも社会の役に立つことをしてもらえれば明らかにプラスである。

そもそも信長の時代には、老後生活などというものは考える必要がなかった。普通の人のほとんどは働けなくなってから亡くなるまでの期間というのはほぼゼロだった。就業者の多くが農業や自営業だった時代には、体が動く間は皆何か仕事をしていたし、働けなくなってからの人生はごく短いものだった。長い老後が心配だという、ぜいたくな問題に多くの人が悩むようになったのは、まだ元気なのに定年で働けなくなる、サラリーマンという職業の人口が増えた最近のことだ。

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