会社員ものめり込むラップブーム再来の実状 人気のプロ2人が内側を語り尽くす

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晋平太:あえてフリースタイルをテレビ向けにパッケージしたのは、人気になる勝算があったからだと思う。でも、フリースタイルを盛り上げてもZeebraさんには直接的なメリットが何もないんだよね。それでも尽力してくださったのは、やっぱりヒップホップに愛があるからだろうな。

もちろんブームが来る前から、ラップにのめり込んでいたACEやR-指定(大阪出身のラッパー。“最強のフリースタイラー”としても名高い)といった実力のある若手がちゃんと育ってくれたのも大きい。

――最近は社会人を対象にしたMCバトルの大会が開かれたりもしていますよね。なぜ普通の会社員の方々がラップに挑戦されるのでしょうか?

1990年ブラジル生まれ。新宿育ちのラッパー。日本語・ポルトガル語・英語の3カ国語を操り、渋谷サイファー主催のほか、数々のMCバトルで優勝。「フリースタイルダンジョン」をはじめ、バラエティ番組やテレビCMにも出演。12月7日に2ndアルバム『LIGHT DOWN』をリリースした

晋平太:俺の友人でも普段は会社で働いてるけど、なぜか1日3時間スタジオ入りして練習しているって人がいます(笑)。とにかく熱意がすごい。

ACE:けっこう本気でのめり込む人が多いですよね。僕も毎週ラップスクールの講師をしていて、今年を見ると下は10代から上は還暦を超えた男性まで集まって驚きました。

晋平太:マジで?

ACE:理由もすごいです。「以前、劇場で娘と『8Mile』(2003年に日本で公開された映画。ラッパーのエミネムが主役を演じたことで話題に)を見て格好いいと思ったから」と。かなり長い間、熱意を温存してくれていた(笑)

晋平太:すばらしいことだよね。ラップのスキルを身につければ、「自分の言いたいことが言えるようになる」とか「人前に出ても緊張しづらくなる」といったメリットがある。

でも普通の社会人の人がラップにのめり込む姿を見ると、やっぱりみんな超楽しいからやっているんだよね。まるで部活動にのめり込む子どもたちのように。

ACE:成長が見えて楽しいんですよ。3カ月ぐらい教えると、みんなすごくうまくなっているし、中には性格まで明るくなってしまう人もいるぐらいですから。

ラップを始めたことで「ひきこもり」から抜け出す

――晋平太さんは12月に『フリースタイル・ラップの教科書 MCバトルはじめの一歩』を出版されました。フリースタイル・ラップが出来ると、いったいどんなメリットがあるのでしょうか?

晋平太:フリースタイル・ラップは、「相手の言っていることを咀嚼して、自分の意見を言う」スタイルです。それを即興でやるわけですから、コミュニケーション能力が高まりますし、度胸もつきますよね。また、フリースタイルを一芸として身につけておけば、それが自分の肩書というか、長所にしてしまう子もいる。

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