B787は中期計画の柱。遅延の影響は大きい−−全日本空輸(ANA)社長 山元峯生


--燃油サーチャージ(燃油特別付加運賃、FSC)などの価格転嫁も限界に来ています。

従来だと国内線運賃を何%上げ、国際線はFSCでカバーしてきましたが、さすがに国内線値上げが今度4度目、国際線のFSCも欧米線で往復4万円、10万円のツアーで代理店に行くと14万円払わないといけない。これが7月から往復5万6000円に上がるので、需要に必ず悪影響を与えると思います。それに来年、追い打ちをかけるようにがんがん上げていったら、旅行が壊滅的になることは目に見えています。じゃどこまで上げるのか、あるいは他社が上げても頑張って自分たちはやめるのかと。

--1~3月にJALが燃油サーチャージを上げた一方、初めて価格を据え置きましたが、その後は再び同一歩調ですね。

ちょっと試してみたんですよね。3カ月と短期間ではありましたが、やはり黙ってJALに追随して燃油サーチャージ分をもらうのと、一方で、それをやせ我慢したうえでJALから転移してくるであろうお客、この収入を期待したものと比較すると、どうしても黙って上げたほうが確実でした。3カ月とはいえ経験則があります。だから、判断が難しいですね。従来のように燃油が上がる部分の何割は自助努力で頑張るけれども、何割は運賃でお願いしますということが、ちょっと通用しない局面に来たと思います。

--コスト削減で先行してきましたが、それももう厳しいですか。

来年度、再来年度に効くものを今から準備してコスト削減努力をしないと大変ですね。たとえばコールセンターは随分合理化が進みましたが、やはりコスト的にみれば東京が高い。それをたとえば沖縄でコールセンターそのもののコストを下げる。これは1年準備すればできます。それから、従来は人事部がやっていた給与計算や交通費精算。これもたとえば米IBMが全社員10万人の給与計算その他をマニラで一元的にしているように、コストの低い外部に出すとか。それに個人では限界でも、働き方を改善する余地はあります。単発ではなく一度変えれば後々効く。これを一つでも二つでも、億単位で積み上げていくつもりです。

--ローコストキャリア(LCC)設立にも意欲的です。それもコスト削減対策の一環ですか。

国内線が成熟した今、それじゃ次に成長するのはどこかというと、国際旅客と貨物しかない。昔は国内線でシェア50%という圧倒的な強さがあり、それで得た収益で国際線を賄っていた。ところが、JALとJASが統合し50対50になった。と、そんなに国内線では稼げない。そこで国際線を単独で黒字にするため、不採算路線を全部切っていって現在の形にしたため、国際線はビジネスと貨物の強い路線しか残っていない。

そのビジネスと貨物も、路線展開は中国をとっても沿海州は全部終わり、ましてやアジアもそんなに残っていない。シンガポール、バンコクもダブルデイリーにしたし。となると、プレジャー路線か、あるいは収益性がそんなに高くない路線でも行かざるをえない。今のコスト構造のままそこへ乗り出していくと、いつか来た道で、また国際線が赤字になる。そうすると、アジアの人件費やコストを使ってネットワークを広げるしかない。バンコクに作って成田へ飛ぶとか、そういうことも考えざるをえないという発想です。

--LCC設立に向けた拠点を香港に設け、ほかのエアラインとの協業を模索しています。

問題なのは一緒に作っても、自分たちのポリシーが追求できなければ意味ない。連結寄与がないエアラインも意味がない。ただ、それを各国外資規制もある中でどう利を取るか、いくつか課題があるんですよね。ただ絶対それをクリアし、中途半端な会社は作らないぞと。過去に日本貨物航空で日本郵船とともに筆頭株主をやったら、どうしても二頭政治で、経営のスピードが遅れましたからね。それで手を引いたんです。それと一緒で大手と組むと、ましてや考え方の発想が違うシンガポール航空と組むと、何か決めるときに必ずぶつかる気がします。あくまでもうちがリーダーシップをとれると、それでもいいというところと組まないとつまらない。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • ミセス・パンプキンの人生相談室
  • iPhoneの裏技
  • 岐路に立つ日本の財政
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
沸騰! 再開発バトル<br>「不動産好況」はいつまで続く

東京をはじめ、地方都市でも活況が続く都市再開発。人口減少時代に過剰感はないのか。ベンチャーの聖地を争う東急・三井両不動産、再開発で「浮かんだ街・沈んだ街」、制度を巧みに使う地上げ最新手法など、多方面から街の表と裏の顔を探る。