B787は中期計画の柱。遅延の影響は大きい−−全日本空輸(ANA)社長 山元峯生


--JALの西松遙社長はLCCを当面、新設するつもりがないと断言していますが。

われわれも基本はプレミアムエアラインで生き残っていくというポリシーに変わりない。ただ、それで突っ走って生きていけるだけ、そんなに環境が甘いかというと違う。現に欧米大手はみんなやられ、あのシンガポール航空もLCCを勉強している。一本で突っ走っていけるならそんな楽なことはない。それが許されない時代がきっと来ます。JALとは経営ポリシーの差でしょうね。何とも言えないですが、この世の中、二の矢、三の矢、四の矢、どれだけ引き出しを作っておくか、それしかないと思います。

--2010年に羽田・成田が再拡張されますが、ビジネスチャンスですか。

今の計画のままでは、アジアのネットワークの中で羽田の位置づけが足りません。羽田だ、成田だと、国際線で激しくいがみ合っていたら、韓国・仁川や中国・上海にハブの座を全部取られちゃう。発想を変えて羽田と成田が互換しながら首都圏空港として競い合って大きくなり、かつ国力もまだ日本に寄らないと仕事にならないというのが続いていけば、この5年は利益の源泉になる。そこでどのキャリアが儲かるという話ではないと思いますね。

--日本の空港政策についてみんなでプラスになる議論をすべきと。

そうです。羽田の空域問題も大きなネックです。もっと近道ができれば、その分、燃油を使わなくていいし、炭酸ガスも出さなくていい。今は東京上空を通れないんです。ただ、航空機性能も上がったので、騒音の少ない新鋭ジェット機に限ってでもいいし、東京上空を通してほしい。そうすることで、羽田の潜在能力を引き出せるはずです。

--東京−大阪間の新幹線との激しい競争にも関係してきます。

新幹線はスピードアップしたのに、航空機だけ空域問題で遠回りさせられているのはどうかと。一方、「スキップ」でチェックインをなくすなど工夫もしましたが、今後はさらに1回X線検査すれば、後は埋め込み型ICチップでゲートが自動開閉するといった仕組みでも導入し、それでも新幹線に負けたら路線撤退ですかね。もう一度勝負します。
(山崎豪敏(編集長)、冨岡 耕 撮影:今井康一 =週刊東洋経済)

やまもと・みねお
1945年中国・山東省生まれ。70年京大法学部卒業、全日本空輸入社。労務、法務、企画などを担当。常務、副社長などを経て2005年4月から現職。

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