近年、日本における「第九」の新たな傾向として注目されるのが『参加型の「第九」』だ。聴くだけでは飽き足らず、合唱団の一員として、年に1度ステージに立って「第九」を歌うことを楽しみとしている人の増加。それがさらに「第九」人気に拍車をかけているようだ。
毎年12月の第1日曜日に大阪城ホールで開催されている「サントリー1万人の第九」や、毎年2月に両国国技館で開催されている「国技館5000人の第九コンサート」などがその筆頭。果ては海外の有名ホールで「第九」を歌うツアーなるものまで存在する。今や「第九」は“聴く”から“歌う”へと変貌しながらさらにその存在感を増しつつある。
「第九」選びの基礎知識とは?
「第九」の熱気を実際に体験してみたい、という方のために選び方のポイントをアドバイスしておきたい。まずお薦めなのが、お気に入りのコンサートホールのスケジュール表の中から選ぶ方法。土日・祝日の昼公演(マチネ)の「第九」公演は特に人気が高いので早めの手配が必要だ。
人気の理由は、コンサートの余韻に浸りながらディナーを楽しむという大人の余裕がポイントとなる。続いては、オーケストラや指揮者・ソリストによって選ぶ方法。クラシックの醍醐味でもある「第九」の聴き比べを楽しみたい方には特にお薦め。ここでは話題の指揮者や歌手(ソリスト)をチェックするのも楽しみの1つだ。
さらには、「第九」と一緒にカップリングされる他のプログラムで選ぶのも悪くない。アンケートによる人気曲をカップリングする公演や、ヴィヴァルディの「四季」など定番の人気曲と「第九」を組み合わせた公演などなど、趣向を凝らしたプログラムからは、各オーケストラの個性や特徴が垣間見えて興味深い。変わったところでは、フランツ・リスト(1811−1886)が編曲した「2台ピアノ版・第九」なども興味深いが、これにはもちろん歓喜の歌声は入っていない。
とはいえ作品の構造を知る上ではとても有意義なほか、この録音を合唱練習のカラオケ代わりに使う人もいるのだとか。さて、チケットをゲットしたならば、事前にCDを聴いておくなどの予習も必須だ。それにしても「第九」の演奏時間は1時間あまり。有名な第4楽章「歓喜の歌」に至るまでの長い時間はクラシック初心者にとってなかなか大変な道のりだ。
しかし、その結果の「歓喜の歌」だからこそ、感動も大きいに違いない。余談だが、カラヤンが指揮する「第九」の演奏時間が、CD1枚の収録時間(当初74分)を決める基準になったという。その意味でも「第九」の存在感は限りなく大きい。というわけで、この年末、ベートーヴェンの自筆譜がユネスコ認定の“記憶遺産”にも登録されている人類の遺産的名曲「第九」をぜひご体験あれ。
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