広いオーストラリアで多くの人口を抱える地域はシドニーやメルボルンがある東海岸だが、さすがに欧州との直行便をそこまで飛ばすのは無理なことから、パースに新たに国際線のハブを設けることにした。これについてジョイスCEOは、欧州に行く前にパースでストップオーバーする旅客もいることを見越し、「この機会に西オーストラリアに立ち寄る国内観光客の拡大にも努めたい」と自国の地方復興のPRにも余念がない。
英豪間を無着陸で飛ぶとは
ロンドン―オーストラリア間のノンストップ直行便運航は、カンタス航空の歴史上で過去に1度だけある。
1989年8月に、ボーイング747-400がオーストラリアに回送された際、ロンドン・ヒースロー空港からシドニー・キングスフィールド空港に向けて飛んだという記録が残る。この時の総飛行距離は1万7039キロ、所要時間は19時間52分だったという。フライトプランでは所要20時間9分だったので実際には若干早着できた格好となったが、シドニー着陸予定時の残存燃料は飛行時間にして45分、とぎりぎりの計画だった。
当時の飛行ルートをたどると、ロンドンを離陸した747-400は途中、フランクフルト、イスタンブール、テヘラン、オマーン、コロンボからインド洋を横切り、ココス諸島の上空を経てシドニーに向かった。2018年から飛ぶ直行便はパースに向かうため、インド洋では南寄りのコースを飛ぶことになるだろうが、この過去の記録がおおむね新規就航ルートの参考になるだろう。
それにしても1フライトで所要17時間はいかにも長い。「長い飛行機に乗る時、映画を見るのが楽しみ!」という人なら、17時間あれば6本くらいはいけそうだ。しかし、はたしてそんなに見続けられるだろうか。ちなみに、英豪線の直行便運航決定を報じるBBCニュース(電子版)は「17時間でできること」を以下のように解説している。
・国際宇宙ステーション(ISS)への所要時間のおよそ3倍
・1440ページあるトルストイの長編小説「戦争と平和」が3分の1ほど読める
・「ゲーム・オブ・スローンズ」のシーズン1(18回)を全部見てもまだ時間が残る
・サッカーなら11試合できる
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