オーストラリアが英連邦の一員ということもあり、英国とオーストラリアに分かれて暮らす家族は意外と多く、業務上の交流も盛んなことから、両国の間は遠距離だが往来需要はとても大きい。
もともと直行で飛べないルートなので、英豪を結ぶ途中の国々にある航空会社は、英豪間を飛ぶ利用客の乗り継ぎ需要を取り込もうと積極的にセールスしている。
日系キャリアも参戦、激しい英豪線のシェア争い
両国間を飛ぶ際には、英連邦というつながりでシンガポールやマレーシア乗り継ぎ、あるいはかつて英領だった香港を経由して飛ぶのが比較的常套手段と考えられている。
ところで今回直行便を飛ばすことにしたカンタス航空は、長年にわたってブリティッシュ・エアウェイズ(BA)とともに、シンガポール乗り継ぎのサービスを続けていた。
しかしこの安定しているように見えた蜜月関係が2012年9月、突如瓦解した。カンタスに対し、中東のエミレーツ航空が「ドバイを欧州―豪州ルートのハブに」と提案して来たからだ。エミレーツ航空の欧州一円に広がるネットワークは新たな集客源にも繋がる。そんな事情もあって、カンタスは2013年4月、欧州―豪州間の主要乗り継ぎハブをシンガポールからドバイへと切り替えた。
欧州―豪州間ルートをめぐっては、ドバイと中東でのハブ争いに挑んでいるアブダビ拠点のエティハド航空もシェア獲得に躍起となっている。これに加え、中国やベトナムを拠点とする各社、さらにANAも欧州便とシドニー便とを成田で繋ぐというプランでシェア取り込みに参戦している。
自分が行きたい目的地に行く際、直行便を利用すれば最短時間で飛べる点が大きな利点。特に日本人ビジネスマンが出張する場合、費用が多少高くても乗り継ぎ便を避ける傾向が強い。しかし、10時間を超えるような目的地に行く際、あえて途中で気分転換も兼ねて乗り換える、というプランも悪くない。今回就航が決まった英豪間直行便のように17時間にも達するフライトに乗った時の身体的負担を考えると、比較的チケットが安くて、乗り継ぎの際に息抜きができる経由便需要も確実に残るはずだ。
顧客のニーズが多角化する中、超長時間フライトはどのくらい需要があるのか。多くの航空関係者がその成否を見守っていくことになるだろう。
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