出光興産創業者は、一体どこが凄かったのか 「海賊とよばれた男」監督から見た出光佐三

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――「荒波乗り越えて」というような歌詞に込めた思いもあったのでは。

そうです。これは俺が脚本を作っている時に、プロデューサーにいじめられた時のつらい心情を歌った歌です(笑)。あきらめるなと。でも、(旧海軍備蓄タンクの底から石油をくみ上げるという危険な任務についていた)タンク班の若い衆を演じたキャストたちが、撮影の打ち上げの時に社歌を歌い始めたんですよ。あれは感動的でしたね。

――社歌が再び注目されてきているという話もあります。

僕に社歌の歌詞をオーダーしてもらえれば、泥臭いの作りますよ(笑)。やはり校歌や社歌って泥臭さがないとダメなんですよ。そこが難しかったですね。

社歌のオーダーがくるといいな

山崎貴(やまざき たかし)/ 1964年生まれ。長野県出身。2000年『ジュブナイル』で映画監督デビュー。CGによる高度なビジュアルを駆使した映像表現・VFXの第一人者と呼ばれる。2005年公開の『ALWAYS 三丁目の夕日』は日本アカデミー賞12部門で最優秀賞を受賞し、作品もシリーズ化される。その他の代表作は『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010年)、『STAND BY ME ドラえもん』(2014年/八木竜一との共同監督)など。中でも『永遠の0』は、2014年年間邦画興行収入1位のヒット作となった(撮影:尾形文繁)

――最初は誰かに頼む案もあった。

はい。最初に社歌を作りたいとなった時に、作曲は音楽の佐藤(直紀)さんがやってくれるとして、作詞は具体的に誰に頼めばいいんだろうとなったんです。校歌を作っている方にお願いするなどの検討をしたのですが、この社歌は重要な要素。誰かにに頼んだとしても、きれいな言葉で綴られた社歌になるような気がして。

なんとなく漁師が歌っていたようなものを作りたかったんです。そうすると、これは意外にフェイクとして作るのは難しいなという話になり。ならば自分たちで書いてしまった方がいいという話になった。だから泥臭いですよ。社歌のオーダーがくるといいな。

――でもいい曲でした。

労働歌ですからね。歌うとすごく気持ちいいんです。聞くよりも、歌う方がより気持ちいいという、不思議な歌ですよね。ただスタッフからは、作詞をして印税狙いでしょと言われてしまうんですよ。ただもし今後、印税のようなものが入るとしたら、スタッフに還元すると言ってあります。

――カラオケやサウンドトラックにも収録されるという話もあるそうですが。

どうなるか分からないですが。でもこの社歌はスタッフのものです。

――経済歴史小説をまたやってみたいと思いますか。

内容次第ですよね、でもそこには冒険があるじゃないですか。元になる話が面白ければまたやると思います。歴史の闇に葬られたであろう事実を描き出した作品などもやってみたいですね。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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