日本人が知らない欧州「寝台列車」の超絶進化

長距離バスやLCCに負けてばかりではない!

OBBは4000万ユーロ(約49億円)を投じ、DBから寝台車57両(簡易寝台のクシェット車含む)を購入。これを改装のうえ、外見の塗装も一新し、CNLが撤退する西欧圏の夜行列車の運行事業に乗り出すことにした。新たなブランド名は「Nightjet」で、同社が運営する昼行特急のブランド「Railjet」との整合性も取られている。

価格の安さも魅力的だ。例えば、ウィーン―チューリッヒ間の「早割チケット」で2等いす席は39ユーロから、寝台シングルルームなら139ユーロからと、「寝ているうちに目的地に安く行ける」という夜行列車の原点に立ち返った料金設定を行っている。

夜空と星をイメージした塗装が印象的な「Nightjet」(©OBB/Wegscheider)

ではなぜオーストリアが勝算に乏しい寝台夜行事業に乗り出したのだろうか。

儲からない夜行事業に乗り出す理由は

異なる国を結ぶ欧州の列車は、国境を持たない日本人にはあこがれの的だが、DBやフランス国鉄(SNCF)など主要国鉄道会社の全売り上げに占める国際列車からの収入は数パーセントに過ぎない。つまり、「国をまたぐ列車にカネをかけて大して儲からない」のが現実で、むしろ大都市圏の通勤客輸送や、国内の大都市間をつなぐ特急列車の方により注力したいのがこれら鉄道会社の本音なのだ。

ところが、オーストリアについては事情が大きく異なる。

国土が海に面しておらず、周辺を8つの国に囲まれるオーストリア。同国を走る長距離列車は片端、あるいは両端がよその国の駅というものが多い。その結果、国際列車は身近な存在で、2014年に竣工したウィーン中央駅は東欧各国の主要都市を結ぶ列車のハブ的存在にもなっている。OBBの長距離列車関連の収入のうち、夜行列車が占める割合は従来でも2割近くを占めているほどだ。そんな環境にあるオーストリアにとって、DBによるCNLからの撤退はむしろ福音だったに違いない。

OBBが「Nightjet」として運行する路線を見てみよう。

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