しかも、私にとってブランドは関係ありません。たとえトップブランドのホテルでも、立地が悪く、見栄えが悪ければ、お客様から興味を持たれません。すばらしいブランドでありながら「バッド・ホテル」になってしまう。個人的な意見ですが、ハード(建物)とソフト(サービス)の両方が優れていることが大切です。
その意味で、このセントレジスホテル大阪に赴任したとき、これはすばらしいホテルだと感じました。このホテルを運営することに喜びを感じます。これはブランドそのものとはまったく関係がないのです。
このエリアのほかのホテルも見て回りましたが、このセントレジスはインテリアデザインに意匠が凝らされれたすばらしいホテルだと、来てすぐに感じました。
全客室につくバトラーサービスって何?
――現状、日本の一般のお客さんから見て、セントレジスはラグジュアリーホテルの最高峰のひとつ、というくらいの理解がせいぜいで、具体的な個性まではよくわかっていないと思います。どう違うか、教えていただけませんか。
特徴のひとつとして、「バトラーサービス」があります。セントレジスではすべての部屋にバトラーサービスがつきます。スイートであったり、高層階であったりは関係ありません。一つひとつの部屋すべてにです。
まず初めてのお客さまであれば、質問をしないで理解するようにしています。何が好きなのか。ベッドの右側で眠るのが好きなのか、左側なのか。早朝型の人なのか、夜遅い人なのか。コーヒーを飲むのか、紅茶を飲むのか。部屋ではスリッパか、裸足か。
――それって、こっそりカメラで撮っているわけではもちろんありませんよね?
ええ、それでも、お客様のニーズをできるかぎりとらえる。そのうえで、すべてをリスト化します。次にいらっしゃったときは、お客様好みの部屋にセットアップしてお迎えします。
これは簡単なことではありません。なぜなら、1回目には1人でみえた方が、次はご夫婦連れでいらっしゃるかもしれない。あるいは職場のボスといらっしゃるかもしれない。そのシチュエーションごとに、お客様のニーズは異なってくるでしょう。われわれはそこまで理解していなければならない。とても興味深いことですが、非常に難しい。でもそれがバトラーのサービスのすべてなのです。
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