1泊していただければ、われわれの提供している価値が、すんなり理解していただけると思います。
バトラーは、お客のちょっとした嗜好も忘れない
――未経験者に、そのセントレジスのよさをどう伝えますか?
これはチャレンジですね。日本ではセントレジスのブランドが認知されていない中での開業でしたから。米国ではよく知られていますし、アジアの一部でも認知度はあるのですが。
いずれにしても、すべて一人ひとりのお客様に合ったサービスにするのです。それがカギを握っています。お客様誰ひとりとして、同じように扱うことはしません。お客様のニーズを把握し、どれだけわたしたちがサービスできるか。それを徹底してやっています。
お客様は日本人客と外国人客の両方いらっしゃいますが、特にフォーカスを当てているのは日本人のお客様です。日本人客のもてなし方は中国人客とも英国人客とも違う。マナーの問題などではなくて、飲んでいるお茶ひとつとっても違いますね。部屋では何が好きか、あるいは嫌いか。バスルームのアメニティでは何を好まれるのか、とか。こうした違いをきちんと理解することが、われわれにとってはとても重要です。
――リピート客には同じバトラーがつくケースが多いのですか。
ええ。お客様も、同じバトラーを要望されますね。来るたびに好みをいちいち説明する必要がないですから。女性客であれば、気心の知れた女性バトラーを求められます。朝のシフト、夜のシフトなど勤務スケジュールがあり、こちらにとっても決して容易ではありませんが、われわれもできるだけ同じバトラーがサービスできるように手配しています。
お客様がバトラーと事前にメールでやり取りする仕組みもあります。「現地での天気予報が書いてあって助かった」と話していただければ、そのお客様にとっては天気が非常に重要な情報であったことが理解できます。小さなことですが、こうした嗜好を書き留めておくことを、われわれはおろそかにしません。
30回泊まっても、最初の感動を持続させる
――従業員の教育が大変そうですね。
非常に厳しいですよ。1回のサービスに限れば、そう厳しくないかもしれませんが、そのクオリティを続けられるかどうかが大切です。1回の宿泊でお客様に与えた感動を、何度でも再現できなくてはいけません。20回、30回と繰り返し来られるお客様もいらっしゃいます。その1回1回すべてで、同じくらいの感動がなければならないのです。継続性が肝心です。
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