「フリン大統領補佐官」の矛盾に満ちた経歴 トランプ氏の国家安全保障担当補佐官に

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こうした経歴は利益相反とみなされる可能性が高く、CIA(米中央情報局)長官や閣僚など、議会の承認が必要なポストに就くのは困難と、トランプの政権移行チームは判断したようだ。その点、ホワイトハウスのスタッフである大統領補佐官なら、議会の承認はいらない。

そうまでしてトランプがフリンを起用したがるのは、さまざまな意見が一致する以外にも、フリンには大きな「美徳」があるからだ。それはワシントンの国家安全保障エスタブリッシュメントのほとんどが、トランプは大統領として不適格だと明言していたとき、フリンが熱心にトランプ支持を表明したことだ。

選挙後、フリンはインタビューに応じていないが、選挙前は多くのスピーチやインタビューで、自らの世界観を明らかにしている。それは「米国が直面する唯一にして最大の敵はイスラム過激派テロだ」というものだ。フリンに言わせれば、イスラム過激派の脅威以外はすべて二次的な問題にすぎない。そして「イスラム過激派」という表現を避けようとする試みは、「最悪のポリティカル・コレクトネス」だ。フリンは、イスラム教そのものが問題の根源だと言い、宗教ではなく政治的イデオロギーだと言ったり、「癌」だと言ったこともある。

トランプへの影響は絶大か

トランプの勝利は、フリンのキャリアにとって起死回生の出来事だった。一時は、将校として同世代で指折りの高い評価を受けていたが、DIA局長を2年勤めただけで、バラク・オバマ大統領に更迭された。以来、フリンは、オバマは真の敵(つまりイスラム過激派)さえわかっていないと声高に批判してきた。敵がわからなければ、敵を倒す方法もわかるはずがないというのだ。

これに対してトランプは、フリンの言葉に熱心に耳を傾けた。だからフリンは、喜んでトランプの選挙陣営に加わり、国家安全保障エスタブリッシュメントの怒りの声として、たちまち頭角を現してきた。トランプの選挙集会や共和党全国大会では、ヒラリー・クリントンを「ロック・ハー・アップ(刑務所にぶちこめ)」という大合唱のリードをとった。

意気投合したトランプとフリンが、数カ月にわたりあれこれ話をしてきた結果、いまやどこまでトランプの意見で、どこからがフリンのものなのか見分けるのは難しくなった。

2人とも、イスラム過激派を倒すためなら、プーチンと協力するべきだと考えている。プーチンがロシア国内で抑圧的政策を取っていることや、ウクライナを分断しようとしていること、シリアで無差別爆撃をしていることは、とりあえず忘れてやるべきだと考えている。クーデターによって権力を握ったエジプトのシシ大統領についても、同じような考えだ。

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