「フリン大統領補佐官」の矛盾に満ちた経歴 トランプ氏の国家安全保障担当補佐官に

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トランプ・タワーに現われた次期国家安全保障担当の大統領補佐官に指名されたマイケル・フリン元国防情報局局長(写真:Sam Hodgson/The New York Times)

ドナルド・トランプ次期米大統領が、国家安全保障担当の大統領補佐官に、マイケル・フリン元国防情報局(DIA)局長(57)を起用するという。フリンは元陸軍中将で、軍事政策や外交政策の立案に関わった経験はゼロに近い。そんな人物が今後、こうした政策に最も影響力を持つポストのひとつに就くことになる。

実は、フリンは民主党員だが、今回の大統領選ではトランプの国家安全保障顧問を務めた。トランプと同じように、フリンも歯に衣着せぬアウトサイダーを自任し、ツイッターで自分の成功を喧伝する。また、イスラム過激派は米国の存続上の脅威と考えており、露骨なイスラム嫌いのツイートをすることもある。

事実関係に厳しくないところも、フリンとトランプは似ている。たとえばフリンは、米国でシャリーア(イスラム法)が広まっていると言ったことがある(実際は広まっていない)。あまりにもでたらめな「事実」を引用するため、DIA局長時代は部下たちに「フリン版の事実」と言われたこともある。

ロシア系メディアから報酬も

しかしフリンは選挙期間中、トランプに大きな影響を与えた。米国はイスラム過激派と「世界戦争」を戦っており、協力する意思がある者とは誰とでも(ロシアのウラジーミル・プーチン大統領とでも)同盟を組むべきだという考えをトランプに吹き込んだ。

トランプの大統領選勝利後、フリンはトランプが次期大統領として毎日情報機関から受けるブリーフィングに同席してきた。1月にトランプ政権が発足したら、フリンは国家安全保障担当大統領補佐官として、南シナ海をめぐり中国と対立が生じたときや、エボラ出血熱のような世界的な疾病危機が起きたとき、大統領が取るべき措置を最終的に助言することになる。

だが、トランプ同様、フリンにはいくつかの「弱点」がある。

フリンが立ち上げたコンサルティング会社フリン・インテル・グループは、中東諸国と取引関係があり、トルコ政府のロビー活動に関わっていたようだ。また昨年、フリンは、ロシア政府出資の英語放送ロシア・トゥデーで講演を行い報酬をもらっている。さらに、モスクワで開かれた同局の豪華パーティーに出席し、プーチンのすぐそばに座っていたこともわかっている。

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