「フリン大統領補佐官」の矛盾に満ちた経歴 トランプ氏の国家安全保障担当補佐官に

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トランプとフリンが似ているのは、政治的見解だけではない。トランプがクイーンズ(労働者地区)出身ながら、マンハッタンで大成功したように、フリンは(軍人のエリートコースである)ウエストポイント陸軍士官学校ではなく、ロードアイランド大学の陸軍予備役将校訓練課から、軍情報部のトップまで上り詰めた。

だが、フリンは今も、過去の苦々しい思いを捨てきれずにいる。そして自分が正当な評価を受けていないと考えている。DIA局長を更迭されたのも、イスラム過激派は後退しつつあるというオバマ政権の見解を否定した(その見解は正しかった)のを、上司だったジェームズ・クラッパー国家情報長官と、マイケル・ビッカーズ国防次官(情報担当)に告げ口されたせいだと考えている。

こうしてフリンは、反エスタブリッシュメントを強く表明するようになった。そして米国は、ブッシュ政権とオバマ政権の共和党および民主党のお偉方によって、「間違った理由から、次から次へと混乱に引きずり込まれてきた」と主張した。

戦略的思考ができるか疑問

共和党強硬派(いまや主流派になりつつある)の間で、フリンは、オバマ政権の「背信」に勇敢に立ち向かったカルト的な存在だ。「(フリンは)さまざまな争点について実に深い状況まで分析できる人物だ」と、デビン・ヌネス下院情報委員会委員長は評価する。「アルカイダについても、(オバマ)政権の間違いを指摘した」。

だが、フリンと実際に仕事をした多くの人の評価は違う。彼がDIA局長を更迭されたのも、「イスラム過激派」についての見解の違いではなく、局内の運営に問題があったからだという。フリンはDIAの全面改革を試みたが、局内の混乱を招き、中傷合戦を招いたというのだ。

フリンの戦術的な感覚は優れている(実際アフガンスタンとイラクの武装勢力のネットワークを見事に解明した)が、ホワイトハウスで必要とされる戦略的思考ができるかどうか疑問視する声もある。

「フリンには確かに優れた情報収集能力がある」と、カーネギー国際平和財団(ワシントン)のサラ・チェイズは言う。チェイズは、2009〜2011年にフリンがアフガニスタンで陸軍情報部を統括していたとき一緒に仕事をした経験がある。「だが、一貫した結論を導き出すだけの分析力はなかった。フリンの話を10分聞くと、2〜3個は矛盾点がある」。

(執筆:Matthew Rosenberg記者、Maggie Haberman記者、翻訳:藤原朝子)

© 2016 New York Times News Service
 

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