ヤマト、企業物流の取り込みに本腰 国内主要都市間は当日、アジアに最短翌日配達へ

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宅配便やメール便などを手がけるヤマト運輸を中核とするヤマトホールディングスは7月3日、新たな国内外での物流改革「バリューネットワーキング」構想を発表した。「羽田クロノゲート」「厚木ゲートウェイ」の完成と「沖縄国際物流ハブ」拠点の本格稼働を受けて公表した改革で、国内主要都市間での荷物の当日配達や、アジア圏への最短翌日配達が実現するという。

宅急便に代表される同社の個人発物流(CtoC)の強みを維持しながら、今後は企業発物流(BtoB、BtoC)を強化して総合物流企業の事業基盤を拡充するのが狙い。物流機能に課題を抱えた製造業や一次産業の従事者などに対して、低コストで高品質なスピード物流を提案していく。

羽田と沖縄の物流拠点の活用がキモ

まず海外向け、特にアジア向け物流量の拡大に対応し、365日24時間稼働の付加価値物流機能とスピード輸送を企業に提案する。そのインフラを担うのが、今回完成した羽田クロノゲート(9月下旬稼働)と、本格稼働した沖縄国際物流ハブ拠点だ。

羽田クロノゲート

羽田クロノゲートは、アジア経済圏の中核空港として期待の大きい羽田空港(東京国際空港)の隣接地に開設した。総延べ床面積約20万平方メートルと国内最大規模の物流ターミナルで、投資額は約1400億円(土地代含む)。24時間稼働で立地を生かした陸海空のマルチ輸送が可能なほか、荷物の発着と同時に仕分け作業に入れる「止めない物流」が特長だ。

企業は在庫を最小限に抑え、かつ物流コストの低減にもつながるという。また、異なる発送先からの荷物を一括して仕向け地向けに仕分けする機能や、医療機器の洗浄・メンテナンス、機器修理、保税・スピード通関などの付加価値作業も手掛ける。この羽田クロノゲートを軸に、アジア向けは沖縄国際ハブ拠点に、欧米向けは成田国際空港などを通じて世界へスピード輸送していく計画だ。

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