「トランプ大統領」は高速鉄道計画に吉か凶か インフラ投資の内容がカギを握る

✎ 1〜 ✎ 40 ✎ 41 ✎ 42 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そのスピーチの中でトランプ氏が、基本的には民主党的な政策であるインフラ整備を打ち出したのは重要だ。スピーチの中では「鉄道」という発言はなかったが、この国土インフラ投資の枠の中で、鉄道への予算枠配分がされる可能性はあると見ていいだろう。

また、側近中の側近であったニュージャージー州のクリスティ知事が「政権移行委員会」から事実上更迭されるという事件が起きた。トランプ氏の信頼厚い娘婿のクシュナー氏とクリスティ知事の確執が噂されるなど、さまざまな波紋を呼んだが、このクリスティ知事は過去多くの鉄道プロジェクトを潰してきた「前科」がある。その知事と彼の人脈が新政権から追放されたのは、鉄道に取ってはプラスと見て良い。

航空会社運営の経験は生きるか

では、具体的にどんな可能性があるのだろう?

北東回廊を走るアムトラックの旅客列車(写真:Hama / PIXTA)

まず、ワシントンDC~ニューヨーク~ボストン間を結ぶ「北東回廊線」、日本では東海道新幹線に当たるこの大動脈が焦点になる。トランプ氏の大統領就任でワシントンDCとニューヨーク間の人の行き来は活発になるだろうということもあるが、1980年代にトランプ氏の手がけた航空会社「トランプ・シャトル」が今後を考えるうえでひとつの参考になる。

この航空会社は、ワシントンDC(レーガン空港)~ニューヨーク(ラガーディア空港)~ボストン(ローガン空港)を結ぶ短距離便のサービスで、トランプ氏自身のアイデアによる「30分間隔のダイヤ」と「予約なしで飛び乗れる」という利便性を売り物にしていた。

結果的に、ビジネスとしては大成功とは言えず、トランプ氏一流の「損切り」でUSエアなどに機材ごと売却する格好となったが、トランプ氏自身が一度はこの大動脈の流動というマーケットに真剣に向き合ったこと、何よりも高密度の運航による利便性の高い都市間輸送という着想を持っていたことは興味深い。

次ページ「トランプ・シャトル」リニアで復活?
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事