先日行われたヨネックスレディス大会で、表純子プロが8年ぶりに勝利を挙げました。ご主人がキャディーとしてバッグを担ぎ二人三脚でいつもツアーを回っています。今回は優勝争いをしたときのキャディーさんに求めるもの、のお話です。
表選手は最終日、前半を2アンダーで折り返すと、後半9ホールではショットがピンに絡むもバーディーが全然決まらず、後続組を突き放せないもどかしさがありました。インタビューでも、パットが決まらず、ずっと胸が詰まりそうだったと話していました。バーディーパットを打つ前にご主人は「バーディーを決めよう!」と励ますも、決まらないと「パーで良いよ」と優しく言葉をかけ続けたといいます。プレッシャーのかかる大事な場面でのキャディーの言葉のかけ方は非常に大事で難しい。ご主人の言葉は私が選手の立場でもうれしいです。私の気持ちをわかってくれている、と前向きにプレーできるからです。これが、「しっかり頑張って」と励まされても余計にプレッシャーがかかるし、パットを外すたびにがっかりされたら、気が滅入ってキャディーからだんだん気持ちが離れます。
私が優勝争いしているときの最高のキャディーは、プレーが良くても悪くてもそのままを受け入れてくれて、感情を表に出さない人でした。パットのラインが読めようが読めまいがそんなことはどうでもいいこと。自分が調子のいいときはパットのラインなど聞かなくても自分で読めるし、人が打つ微妙な感覚をキャディーが全部知っているはずもなく、大事なのは一緒に前向きな気持ちでいてくれることなのです。
米ツアーで優勝争いしているとき、こんなことがありました。そのキャディーは私の良いショットやパットに対し、大きなリアクションで喜びを表します。ところが、プレーが悪いほうに傾くとだんだん無口になり、顔も沈みがちになり、しまいにはプレーがつかえて待ち時間ができたら芝生の上にゴロンとなってしまいました。こんな態度をされてはプレーの意欲がそがれてしまいます。また、別のキャディーは、心配性で私に何番で打てとかどう攻めろとかいちいち指図したがります。これでは、研ぎ澄まされた自分の感覚を使うことが阻害されて、誰のゴルフをしているのかわからなくなってしまいます。それに比べて最高のキャディーは、私がミスショットをしても「たまにそんなこともあるだろう」と意に介さないふうで、逆に良いショットを放っても「そんなことは君なら普通だよね」と、自信を持たせてくれます。そこに信頼があるからそういう態度をしてくれるのだということを、後で気がつきました。
優勝争いでは全神経がプレーに集中する分、選手もキャディーも本音が出てしまいます。互いを熟知していることがいいパフォーマンスにつながるので、普段からの信頼関係が大事ですね。
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