「集中力の続かない人」は睡眠を軽視している ハーバード大学医学博士が明かす脳の管理法

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「自分の脳と身体のためにできる最高の行為の1つが、十分な睡眠をとること」――そんなふうに言うと、あなたはこう答えるかもしれません。「それはそうだと思うけれど、必要なだけの睡眠をとる時間がないんです。やらなければならない仕事があまりに多いので、家族に会う時間を少しでもとろうとしたら、寝る時間ぐらいしか削れるところがありません」

まず、その誤った思い込みから目を覚ましましょう。睡眠時間をとるために、自分の優先順位をリセットするのです。それだけの価値があることは、科学的に証明されています。

ジャーナリストのデイヴィッド・ランダルは、次のように述べています。「睡眠はいまや、あらゆることに影響する、複雑な処理だということがわかっている。そしてまた、幸福に不可欠な要素でもある。自分で認識しているかどうかにかかわらず、どういう食事をするか、いくらおカネを使うか、どこに住むかなどよりも、昨晩どのように眠ったかのほうが、おそらくあなたの生活に大きな影響をおよぼす。自分の想像力や感情、健康、技術を習得したり問題を解決したりする能力など、あなたが“自分”だと思っているものを形作るあらゆる要素は、あなたが毎晩頭を枕に横たえている間に脳の中で起こることの副産物に過ぎない」

自分に必要な「睡眠量」を見つける方法

必要な睡眠量は人によって異なります。自分に必要な睡眠量を見つける方法の1つが、「目覚まし時計などの外的な手段を使わずに、どれだけ長く眠るかを調べる」ことです。就寝前にお酒を飲まず(アルコールが睡眠を阻害するため)、疲れすぎていない状態であれば、適切な睡眠時間に達したときに自然に目が覚めて、生理的にどれだけの睡眠が必要かを身体が教えてくれます。

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ほとんどの成人はひと晩に7~8時間の睡眠を必要とします。もっと少なくていい人や、もっとたくさん必要な人もいます。何時間眠るにせよ、睡眠を時間の浪費だとか仕事時間を削って得た宝物だとか思わないでほしいのです。あなたの脳と身体は、何にも先んじて十分な睡眠を必要としています。いま十分な睡眠がとれていないなら、睡眠のために新たな習慣を身に付けなければなりません。

最初は自制心が必要になるでしょうが、やる気を確固たるものにしてくれる“見返り”がすぐさま訪れるはずです。目覚まし時計のスヌーズボタンと格闘する必要のない、さわやかですっきりとした朝。あなたは1日の初めに、最高の仕事を正しくこなすだけのエネルギーの急上昇を感じることでしょう。

エドワード・M・ハロウェル 医学博士・精神科医

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えどわーど・ハロウェル / Edward M. Hallowell

医学博士。精神科医。ハーバード大学医学部で20年以上にわたって講師を務めたのち、現在はマサチューセッツ州サドベリーの認知力・情感医療で知られるハロウェルセンター所長。ADD(注意欠陥障害)およびADHD(注意欠陥・多動性障害)の権威として世界各国のメディアに登場している。3人の子どもを育て上げ、現在は夫婦2人でボストン居住。

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