35歳エース記者が書けなくなった深刻な事情

「うつ急増」引き起こした現代人の悪弊とは?

新聞記者は、「都市型うつ」を引き起こすあらゆる条件を備えた職業です (写真:Wellphoto / PIXTA)
「うつ病」――。現代人にとってポピュラーなこの病気ですが、患者数が増えてきたのは、21世紀に入ってからだということを知っていますか?
獨協医科大学越谷病院こころの診療科教授の井原裕氏は、その背景に日本社会特有の"不眠不休信仰”からくる「絶対的な睡眠不足」があると言います。実際に診療科を訪れるビジネスパーソンたちの実情を通して、彼らが苦しむ、うつ病の「傾向と対策」をお届けします。

 

最近の「うつ病」は、漢字で書かれるかつての「鬱病」とは区別して考える必要があります。鬱病とは、普通の人はそう口にしない専門用語であり、「躁鬱病」とともに重い精神病を指していました。鬱病の患者さんがどのような状態かというと、感情はすっかり枯れ果ててしまい、悲しいともつらいとも思いません。一日中横になって、宙を見つめているのがやっとです。自殺するのは比較的軽い症状の方で、本当に重くなると指一本動かせません。

「鬱病」+「ノイローゼ」=「うつ病」

一方、うつ病という言葉は21世紀に入ってから、「メタボ」や「花粉症」と同じように流行の病名として流布し、知名度を得ました。厚生労働省の調査において、うつ病は「気分障害」というカテゴリーで記録されています。それによれば、日本の気分障害の患者数は、それまで横ばいだったのが1996年から2008年までの間に2倍以上に膨れ上がり、104.1万人に。ついに「うつ病100万人時代」へと突入しました。

背景には、うつ病診断への大きな変化があります。脳の機能障害としての鬱病と、一般の人が「ノイローゼ」と呼び、専門的には「神経症性抑うつ」と呼んでいた状態を、まとめてうつ病としようという主張が現れたのです。

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