金市場の暴落が意味するもの 「本命」の米国に、再び恋愛意欲を高める投資家たち

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しかし、問題は、今後だ。

バブルがいったん崩壊するのはわかった。投資家がいったん利食い、売り浴びせるのはわかった。しかし、いったん下がった後、彼らはどちらに動くのか。

気になる、金投資意欲の喪失理由

バブルが崩れたら、一気に奈落の底まで暴落するかと言うと、そうでもない。直近までバブルであったということは、投資家の投資意欲は強いということだからだ。その相場が一山終わった後、もう一山目指すかどうか。それは、いったん崩れた後の投資家の意欲、それをサポートする環境にかかっている。今回はどうか。

量的緩和の出口ということで、今後も、米国株式は乱高下していくだろう。しかし、景気が良くなっていることもあり、また今回のバブル崩壊からうまく抜け出す機会は十分にあったので、投資家は意欲も財力も残っているだろう。いや、むしろ増加している。だから、次の山もあるはずである。

このとき、注目すべきは「金」の市場だ。株価とは比べ物にならないくらい、暴落している。2011年8月の1オンス1900ドル台から、ついに一時1200ドルを割り込むほどの勢いで下がっている。中国の景気減速、金融の混乱が大きな理由だが、資源国、ブラジルなど新興国が全体として弱くなっていることも影響している。

しかし、ここで重要なのは、金暴落を説明するストーリーでなく、金暴落をもたらしている投資家の、金への意欲の変化だ。投資意欲があるときは、どんな理由をつけてでも資産価格は上昇する。暴落していることは、意欲の喪失を表している。問題は、意欲の喪失の理由だ。

2つの可能性がある。株式へ浮気したこと。いや、株式から金へ浮気していたが、浮気には飽きたこと。もう一方は、資産バブルへの恋愛の意欲全体が喪失した可能性だ。株式市場を見ると、後者はありえず、前者に間違いがない、ということになる。米国株式市場という「本命中の本命」が盛り上がるのであれば、金などというハジパイの市場で遊んでいる暇はない。メインストリームのバブルに乗れ、ということだ。そして、日本と言うエキゾチックな浮気も、少し本気になりかけたが、あまりに一気に燃えすぎて飽きてしまった。やはり、「本命」へと、投資家たちは戻ってきたのである。

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