東芝、新トップが挑む“3つの課題"

田中久雄社長ロングインタビュー

これは東芝グループがカンパニー制を敷いていて、カンパニーごとに開発して商品を作り、販売しているためです。この体制に横串を刺し、技術を組み合わせると全然違ったものができる可能性がありますよね。そういう創造的な技術の融合やビジネスがあまりされていないのです。

「創発」という化学用語があります。一つひとつの物質が組み合わさって全然違う形になるという意味です。創発のように東芝グループが持っている技術資産や知的財産を把握しながら、どれを組み合わせると違うビジネスになるのか。ぜひ作り出したい。そういう意味で創造的成長を掲げ、新しい考え方の合わせ技で融合しながら違うモノを作っていこうと思っています。

最後は財務基盤の強化です。世の中のスピードはものすごく急激に変わっていますよね。それに対応するため、私はありとあらゆる業務、プロセス、生産性を上げたい。一般的に生産性というと製造の生産性と言われますが、これに限らずスタッフ業務、研究開発、ITなど、あらゆる業務のスピードと生産性を上げると、効率的に3倍の仕事ができると思っています。

カンパニー、研究所を超える横串を刺す

――組織を横断的にするということは、抜本的に組織体系を見直すということですか?

そうですね。特にカンパニーを超えたところ、あるいは研究所を超えて横串を刺して違うモノを作ろうとか、コーポレート側で率先してリードする部隊、組織を作ろうと思います。そこが主体になって技術を合わせて作っていこうと、それをコーポレートの専門部隊でやっていきたい。いろいろな業界の課題を解決するための新しい事業に特化したいです。

――テレビやパソコンについて。今後3~5年で事業を見直す可能性はありますか。

基本的には復活させたいと考えています。テレビはご存じのとおり、厳しい戦いを強いられていますが、われわれが培ってきた映像技術を武器に、テレビ事業を黒字転換させて成長させていきたい。普通の戦いをやっていてはコストだけの勝負になる。東芝ならではの技術を軸に、ハードだけでなく、テレビというものに対してどういう価値をお客様に提供していくか。価値提供、ソリューションなのかコンテンツなのかは別にして、ハードだけではない価値をお客様にお届けしたい。

パソコンは、確かに今はスマホとタブレットに押されています。将来の販売台数予測を見ても、少しずつ台数が落ちると見込まれています。東芝も先日、タブレットの新製品を発表しました。タッチペンで書き込みできるのが特徴で、紙のノートが必要なくなるほど非常に書き味がよい。そういうところには注力します。

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