東芝、新トップが挑む“3つの課題" 田中久雄社長ロングインタビュー
――その新中計に、西田会長の意見は入っていない?
ない。今、作っている最中で大体を固めましたが、私は西田会長に相談していません。
――やりにくさは感じていませんか?
まったくないですね。東芝は委員会設置会社で、執行側と監督側が明確に分かれています。ここはご理解いただきたいですね。僕が言うとあれですが、(トップが)2人いるとかね、まったく感じていませんし、懸念は持っていません。
――それでも元上司と部下として、さらには同じ東芝グループを背負う立場として、個人的に相談することは普通にあるのでは?
個人的な相談は、会長だろうが副会長だろうが部下だろうがあります。普通に一般的なディスカッションはやっていますから。「こうしろ、ああしろ」ということはないですね。言われても、私の意見と違っていれば考慮に入れません。私の執行は、私の考えでやります。
「デジタル」「成長」「財務基盤」に課題
――東芝グループの課題や問題はどこにあると考えていますか。特に業績が厳しいデジタル分野では、構造改革を行う可能性はないでしょうか。
課題は大きく3つあると思っています。ひとつ目はデジタル、特にテレビ事業の早期黒字化です。何をもって東芝グループは成長していくのか、その成長を加速させるのかが2つ目。最後は、財務基盤をどう強化するかです。
テレビ事業については現在、社内でいろいろ検討していますが、まだ何も決まっていません。早急に黒字化を目指すということで、ありとあらゆる検討を重ねています。当然ですが在庫や固定費の削減、それから高付加価値な「4Kテレビ」といった商品、大型化へのシフトがあります。東芝ならではのテレビ開発を、ありとあらゆる項目で現在検討し、近日中に発表できると思います。今下期には必ず黒字化を達成します。
成長戦略で私自身が広めたいテーマは、「創造的成長」を目指すことです。従来から東芝は、いろいろなイノベーションをやっています。世の中にない新しいものを研究開発して商品を出し、社内では「バリューイノベーション」と読んでいますが、これは従来型になります。私が新しい考え方として打ち出そうと思っているのは、「コンセプトイノベーション」です。
東芝グループは、さまざまな分野で多くの技術を持っています。社会インフラ系、デジタル系、電子デバイス系、あるいは白モノ家電系、いろんな事業領域があります。ところがその技術を融合する、すなわちそこの技術とここの技術を合体させて違う価値、新しい商品を出していくことがあまりない。ひとつの開発は、限られた用途向けとなっている。
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