――改めて、リッツの接客姿勢である「ゴールド スタンダード」について教えてください。
それには、私自身のことを少し話させてください。なぜなら、それがゴールド スタンダードにすごく紐づいているからです。
私はザ・リッツ・カールトンで17年間働いています。1996年、24歳のときに働き始めました。その当時はまだ若かったので、将来の自分自身について何もクリアではなかった。けれど、ひとつだけはっきり考えていたのは、「3年経ったら辞めちゃうだろう。どうせ退屈だろうし」ということ。でも、17年経った今でも転職せずにずっと働き続けている。
――お仕事はリッツ一筋なのですか?
スペインのホテル会社に勤めてからリッツですが、17年間辞めなかったのは、「ゴールド スタンダード」の哲学のためです。私にとって、クレドや従業員への約束など、ゴールド スタンダードに規定されている価値観がとても重要なものでした。信頼や誠実さといった接客姿勢、それがいまだにここで働き続ける理由なのです。
権限委譲を進める理由
私にとって、もうひとつの辞めない理由はエンパワーメント、権限委譲が確立されているということです。ザ・リッツ・カールトンでは、スタッフの全員が自分で決断して行動する権利があります。自分自身が責任を持って判断を下せることによって、お客様に迅速なサービスをお届けできるのです。
接客の現場で何かがあったときに、マネジャーや上役にいちいち確認していては、お客様をお待たせしてしまう。ですから、そのサービスに当たった従業員本人が、本当にお客さんにとってよいことは何かを瞬時に自分で判断して、それを提供しても良いと言われているのです。それが私たちの重要なカルチャーのひとつであって、私を引き付けてやまないのです。
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