入社後も想定した「内定者フォロー」の実態 あの映画会社とソフト会社はここまでやる

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内定者に対する取り組みも先進的だ。入社前に能力を向上させる内定者向けの取り組みをこれまでもしていたが、「入社までの間に何もさせないのはもったいない。この会社がなぜいいかを感じられる仕組みを作りたかった」(ワークスアプリケーションズ・リクルーティングディビジョンの夏目通伸マネージャー)と、提案・解決型のソフト開発を手掛ける同社らしい自ら企画を考えて、実際に立ち上げていくというプログラムを今年から本格的に開始した。

対象は内定者の中でもインターンシップで得た「入社パス」を行使して2017年4月に入社を決めた学生。強制参加ではないが、自分が面白いと思った企画を持ち込み、賛同する内定者たちと実現に向けて活動をしていく。人事担当者がやりたい環境を用意するなど最大限サーポートをするが、主役はあくまでも入社を決めた学生たち。約50人が参加し、いくつかの企画の中から「就活日記プロジェクト」や「シンガポール支社の視察」など13のプロジェクトが立ち上げ、2017年2月までに活動の成果を出していく。

実際の仕事さながらのプロジェクト

そのプロジェクトのひとつ「カンパニーフォーラムプロジェクト」は、会社が開催するビジネスカンファレンスの1セッションを自ら企画・運営するもの。9月には「HATENK王決定戦」という破天荒な学生を選ぶ企画を開催した。その企画の立ち上げから、挑戦者となる学生の募集、進行や実際の運営、聴講対象となるビジネスパーソンの集客すべてを彼らの手で成し遂げた。

プロジェクトの発起人である宮嵜麻子さんは「企業の人事の方に来てもらいたかったので、趣旨を伝えるためのスクリプトや問答集をつくり、さらに興味の度合いで説明の仕方を変えて集客をした」と、実際の仕事でも十分に通用する手腕で会を成功に導いたという。学生の募集やスケジュール管理を担当した伊藤聡士さんは、「働いたことはないが、仕事ってこうやるのかという体験ができた」と手応えを感じとっていた。

プロジェクトを進める課程では、PDCA(計画・実行・評価・修正)サイクルといった手法も取り入れ、フィードバックを繰り返しながら、業務の問題点や課題を気付かせるようにしている。

「まず採用方針があって、その人たちにどんな力を発揮してもらいたいかを逆算して考えれば、内定者にどんなことをすればよいかは自ずと見えてくる」と、夏目氏。こうしたプロジェクトを通じて、4月からでも職場で十分活躍できる人材を育成していくことが目標だ。

確かに懇親会などは、コミュニケーションツールとして学生、企業双方に効果が期待できるもの。内定者たちがより高いモチベーションで4月から仕事ができるよう、内定者フォローの在り方を模索するのもひとつの手かもしれない。

宇都宮 徹 東洋経済 記者

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うつのみや とおる / Toru Utsunomiya

週刊東洋経済編集長補佐。1974年生まれ。1996年専修大学経済学部卒業。『会社四季報未上場版』編集部、決算短信の担当を経て『週刊東洋経済』編集部に。連載の編集担当から大学、マクロ経済、年末年始合併号(大予測号)などの特集を担当。記者としても農薬・肥料、鉄道、工作機械、人材業界などを担当する。会社四季報プロ500副編集長、就職四季報プラスワン編集長、週刊東洋経済副編集長などを経て、2023年4月から現職。

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