「アドテク」はメディアを破壊する怪物なのか 広告テクノロジーとメディアの熱い戦い

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また、回答をもらえても、満足できない内容であることが多い。「先方に連絡をして、そちらのテクノロジーが適切ではないと思っていることを伝える。すると、先方のアカウントマネージャーから連絡が来て、登録ユーザーの使っているツールバーが、彼らが昼食で席を離れている間に偽のインプレッションを生成していた可能性があるなどと答えるのだ。だが、なぜそのトラフィックが、詐欺サーバではなく我々の広告サーバを経由するのかと尋ねても、答えは返ってこない」と、この幹部は話す。

「我々がいまやらなくてはならないことは、信用のおけるベンダーの支援を得て、こうした問題を検証することだ。つまり、我々はアドテクが作り出した問題の解決にお金を費やしているわけだ」。

何よりも必要なのは、基準

ある一般向け雑誌のプログラマティックディレクターは、アドテクパートナーのあらゆる取り組みを精査しているところだと語った。「彼らはたいてい、正確なパフォーマンスデータを開示しない。とりわけ、自分たちの技術がページの読み込み時間に及ぼす影響に関するデータは明かそうとしない」と、この幹部はいう。また、最初の契約が成立すると、サポートがなくなるという声もよく聞かれる。

もちろん、良好な提携関係も見受けられる。また、パブリッシャーは、問題のあるベンダーを見つけることが徐々にうまくなっている。「私が注意しているのは、ビジネス畑の人間ではなく、技術屋がCEOを務めているアドテクベンダーだ。彼らにビジネス的な感覚がないと、こちらのビジネス上の問題を理解できない」とあるパブリッシャーの上級幹部は述べている。

アドテク市場がコモディティ化するなかで、多くのベンダーが自社の技術の仕組みを隠そうとしている。だが、パブリッシャーは透明性を高めることを強く望んでいる。

また、新しいベンダーが毎日のように生まれているが、問題の本質は変わらないままだ。「私がもっとも苛立ちを感じるのは、アドテク市場はあまりに多くのプロバイダーであふれており、いまだに基準が存在しないことだ」と、この幹部は付け加えた。

Jessica Davies(原文 / 訳:ガリレオ)

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DIGIDAY[日本版]編集部

2015年9月1日にローンチした「DIGIDAY[日本版]」を運営。同サイトでは米「DIGIDAY」が日々配信する最新のデジタルマーケティング情報をいち早く翻訳して掲載するほか、日本国内の動向についてもオリジナル記事を配信している。メディアジーンが運営

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