「アドテク」はメディアを破壊する怪物なのか 広告テクノロジーとメディアの熱い戦い
まともなパブリッシャーは、不正なトラフィックや人間ではないトラフィックを望んだりしない。だが、そのようなトラフィックを一掃するという点に関して、パブリッシャーは矛盾を体験している。
ある雑誌社の広告運用担当ディレクターによれば、本来アドテクパートナーがブロックすべき不正なトラフィックが、自社の複数のサイトで思いがけず突発的に増加することがあるという。あるときには、不正なトラフィックがひとつのサイトで40%増加した。
「アドテクのパートナーにアドバイスを求めたところ、彼らの取った対応は、『アルゴリズムの調整』という外部からはよくわからないものだったが、不正なトラフィックは5%未満という通常の割合に戻り、とりあえず除去できた」と、この幹部はいう。
この不正なトラフィックがあれば広告インプレッション数は増えただろうが、ロボットに広告キャンペーンを提供するような事態は、パブリッシャーよりエージェンシーのほうがはるかに嫌がる。また、アドテクは独自の広告パフォーマンス監視ツールを使っているため、そのようなトラフィックの増加があればすぐに気づいただろう。
「当社のエージェンシーは苦情を訴え、リベートやキャンペーンの延長を求めていただろう。どうやら、我々が使っていたプラットフォームにトラブルが発生し、実際には不正なトラフィックの増加など起こっていなかったようだ。だが、彼らはこのことを認めようとしなかった」と、この幹部は付け加えた。
無駄になる広告インプレッション
購入側が自前の分析ツールを利用するのは当然のことだ。だが、分析ツールに基準というものはない。そして、そのことが、ある有料サイトのパブリッシャーに問題をもたらした。
よく知られていない不正トラフィック測定ベンダーが、一部の非常にニッチなサイトですべての広告インプレッションの半分をブロックしているという。これらのサイトは有料であるため、ボットによるトラフィックはほとんどないと考えられるにもかかわらずだ。「彼らは単に用心しすぎているのかもしれないが、多く(のインプレッション)を無駄にしている」と、このパブリッシャーの幹部は述べた。