トランプ氏の意向が、財政政策に色濃く出てくるのは、就任後すぐ(特に「就任後100日」)かというと、そうではない。前述のように、アメリカの会計年度は10月からである。来年9月までの2017年度は、既に予算関連法が成立している。しかも、来年10月からの2018年度の予算編成過程が、トランプ氏が大統領に来年1月に就任した直後の来年2月から始まる。
だから、トランプ氏が意向を反映させたい予算は、2018年度つまり来年10月からとなる。来年9月までの2017年度において、トランプ新政権がよほど性急に財政政策を実行したいと企てない限り、財政赤字は(景況により税収が左右される分を除いて)大きく変化することはない。
トランプ氏当選直後は、様々な憶測で円ドル為替レートが大きく動いているようだが、これはあくまでも憶測にもとづくものにすぎない。トランプ新政権の財政赤字要因が、円ドル為替レートに本格的に影響するのは、来年以降とみるべきである。これが、トランプ氏当選直後に渡米した私の印象である。
来年1月のトランプ氏の大統領就任までの間は、財務長官をはじめとする閣僚や議会共和党の要職に誰が就くかが、今後の財政政策の行方を占う試金石となろう。
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