よいゾンビ企業と悪いゾンビ企業 ド直球で企業再生を考える

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企業再生の本当の難しさ

また、再生局面では(当たり前ですが)再生することが何より優先されるので、目標が明確です。目標が明確であると、合意形成がシンプルになり、意思決定もスムーズに進みます。

(余談ですが、一昨年の震災後、ものすごい勢いで国内のインフラの復旧が進みました。このスピード感は関係者の想像を超えた努力があると思いますが、目標が明確であったこともかなり重要な要素を占めていると思います。)

そういう意味で、本当に難しいのはその後の成長局面です。入院した人を退院させた後、完全な健康体へと移行させることです。

入院する人は、入院する理由があります(当たり前です)。要するに問題が見えています。原因も大体見えています。したがって治療法も見えていて、そこから退院させることもある程度、想定の範囲内で対応が可能です。しかし退院した人を完全な健康体にするというのはステージが異なる話です。

退院して、問題そのものが見つからない(ように見える)状況の中で、どうしていけばいいのか。問題解決の最も難しいところは、問題を発見するところでもあります。

再生に取り組みながら、再生後のことを考える。もしかしたら企業再生の難しさはそんなところにあるのかもしれません。

※ 本文は筆者の個人的見解であり所属する組織・団体を代表するものではありません。
 

中里 基 企業再生ファンド勤務 ターンアラウンドマネージャー

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なかざと もとい / Motoi Nakazato

企業再生ファンド勤務 ターンアラウンドマネージャー
慶応義塾大学理工学部卒業、同大学院理工学研究科修了。日本IBM、マーサージャパン、コーポレイトディレクション(CDI)での戦略コンサルタント/プロジェクトマネジャーを経て、10年より企業再生・地域経済活性化を支援する官民ファンド勤務。ターンアラウンドマネージャーとして、さまざまな業種における企業再生(戦略立案・実行)に従事。グロービス・マネジメント・スクール講師、グロービス・パートナーファカルティー。
Twitter:@chu_riki 筆者連絡先:motoinakazato@yahoo.co.jp

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