「切れキャラ」加藤浩次がMCに選ばれたワケ 元プロデューサーと語る「スッキリ!!」の裏側

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加藤:テリーさんはもともと演出家で、責任感のある方ですから、「そこまで変えたら番組の根幹から覆るぞっ!」と心配していたんでしょうね。でも、そういうぶつかり合いがあるのは健全だと僕は思っていました。言いたいことがありながらも本音を覆い隠して、「まあ、じゃあそうしましょうか」ではいいものはできないと思うんです。

三枝:ぶつかり合い、話し合いはとても大切です。そうしないと深いところで理解し合えないですから。狂気のディレクターだったテリーさんと、若干狂気が入っている僕が闘っていたので、理解し合うまでには時間がかかりましたね。

加藤:でも、僕は面白かったです。

話すよりも聴くことから、すべてが始まる

三枝孝臣(さえぐさ たかおみ)/1966年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。1989年日本テレビ入社。「ZIP!」「スッキリ!!」「シューイチ」を日テレの看板番組に育て上げた敏腕プロデューサー。ドラマからバラエティまで、手掛けた番組は100を超える。2015年日本テレビを退社。自らの経験をもとにメディアデザイン会社「アブリオ」を設立し、LINEの前社長、森川亮氏と共に新事業「C CHANNEL」を立ち上げる。現在、メディアを超えたコンテンツプロデューサーとして活躍している

三枝:ドローンのように、物事や人を俯瞰する力を持っている人は、MCに向いていると思います。どんな仕事でも一緒ですが、客観視できる人がいると、現場が確実にゴールへと進みます。ところで、10年前と今では何か変わりましたか?

加藤:変わったのは、テリーさんがいなくなった去年ですね。それまでは、テリーさんのパワーで引っ張れた。正直テリーさんに「おんぶにだっこ」。テリーさんは、ある事象についてバーンと意見を出せます。しかも、そこから派生するものがたくさんあるんです。

三枝:僕の持論にMCの「良いフリ」をきっかけに、出演者がうまく「こなし」てこそ、番組が面白くなるというものがあります。テリーさんの「フリ」の意見があってこそ、みんなが「こなせ」て答えることができた。

加藤:「これってどうなの?」って言ってくれる人がいると、「いや、それはおかしい」とか、「僕は正しいと思いますよ」と、本音が集まりだす。いわゆるベターな答えで終わらないのが「スッキリ‼」のカラーですから。勝谷誠彦さん(コラムニスト)みたいな、噛みつきキャラの人もいましたしね。

三枝:テリーさんとコメンテーターがけんかを始めるというリアリティやライブ感が面白かった部分はありましたね。

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