LINEの母、ぶっつけ本番両立人生の痛快

「やるか」「やらないか」なんて考えない

「羽田から神戸空港まで、何度、子どもを“ピストン輸送”したかわかりません。仕事が忙しすぎて、空港で子どもをポンと親に渡して、次の便でとんぼ帰りしたことさえあります。そんな私のあまりの“珍道中”ぶりに、親も、『疲れた』なんて言っていられないと、あきらめた様子でした。私に巻き込まれてあぜんとしていただけかもしれませんけれど……(笑)」

育児は毎日が綱渡りの状況だったが、その一方で、広告営業の仕事は順調に軌道に乗り出していた。

「営業部員を採用して増員し、モバイルの広告営業を総括。気がつけば、マネージャーになっていました」

だが、その頃、順調のように見えた仕事に、静かな黒い影が忍び寄っていた。2006年、古賀さんの勤めていた、六本木ヒルズのオフィスに東京地検特捜部が家宅捜査に入ったのだ。そう、「ライブドア事件」の始まりだった。

ライブドア事件発生にも動じない

ところが、古賀さんは職場に地検が踏み込もうが、社長が逮捕されようが、動揺することはなかったという。

「確かに、会社に不信を感じて、辞めて行った人もたくさんいました。私も、同業他社の知り合いから『大丈夫? よかったらウチにおいで』なんてお誘いをかなりいただきました。でも、私はこんなときこそ、会社の信用回復をしなければと思った。私は、IT業界の最前線にいながら、プログラムが書けるわけでも、デザインができるわけでもないし、技術にも疎い。そんな私が、この会社に貢献できることは、1円でも多く稼ぐことだと思ったのです」

古賀さんは変化への対応力がずば抜けて高い性分なのだろう。

「運営母体は何社変わったかわかりません。それでも、あまりストレスは感じませんでした。むしろ、なんて私を飽きさせない会社なんだと(笑)。こんな経験は、なかなかできない。環境が変わっていくことを、楽しんでしまえという気分でした」

そうは言っても、一度失った信用を顧客から取り戻す仕事は容易ではない。メインクライアントが、再度広告を出稿してくれるようになるには、実に1年半の歳月を要したと言う。

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