新興バイオ企業、1年で売り上げ130倍 3200万円から42億円へ大化けの実現性は

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ただ、6月14日に開いた決算説明会の席上で、3Dマトリックスの高村健太郎社長は、「当局とのやり取りは特に問題なく進んでおり、承認待ちの状況だ。すでに製造委託先のラインも完成し、プロモーションなども準備段階に入っている」などと説明。承認取得の時期は「近いという感触がある」(高村社長)との認識を示した。

このため、今期は承認取得のタイミングで、研究開発の進み具合に応じて得られるマイルストーン収入を、販売契約先である扶桑薬品工業から受領できる見通し。

巨大な欧米市場向けに開発費膨らむが…

また、「日本での承認待ち」となっている、韓国や台湾での製造販売承認による一時金収入も、上乗せされるとみられる。扶桑薬品工業に対する吸収性局所止血材の卸販売も、新規に寄与しそうだ。

一方、コスト面では欧米での吸収性局所止血材の研究開発関連費用などがかさむ。販売管理費と研究開発費の合計で前期比では97%増と、ほぼ倍になる想定。

3Dマトリックスでは、4月19日に中期計画の改定を行い、営業利益については今2014年4月期は20.5億円という見通しを示したばかりだった。それに比べて今回改定された営業利益見通しが16.5億円と下振れするのは、研究開発関連のコストがこれまでの前提よりも膨らむためだ。

それでも、今期は「止血剤効果」で黒字浮上を果たせる公算が大きく、中長期的な成長も考えれば、多少のコストが膨らんでも、より巨大な欧米市場向けに開発が進む効果は小さくない。

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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