FRBのQE3縮小策次第で、新興市場に大波乱も 反動招きやすい日米の金融政策、市場との対話も難しく
デンマークの場合、100ユーロに対して746.038クローネ(許容変動範囲は上下2.5%)のペッグを維持することになっている。ECBの利下げ等によってクローネ高の圧力が生じる度に、デンマーク国立銀行は利下げを繰り返してきたが、その結果として、マイナスの領域に突入してしまっている。
デンマークの例に見るマイナス金利の弊害
同行には、超過準備にマイナス金利を課すことによって、銀行が持つ余剰資金を市中に吐き出させてマネーサプライを増加させる、というような意図はない。実際、そのような効果はこれまで観察されていない。むしろ同行が心配していたのは、マイナス金利を払う銀行がそのコストを顧客に転嫁しようとして、貸出金利が上昇する可能性であった。幸い、これまでのところ、それは発生していないが、代わりに銀行の収益が圧迫されている。
このような状況を見ているため、ECB幹部はマイナス金利政策に否定的になっている。ユーロ圏で問題なのは、南欧での中小企業に対する銀行貸出金利の高止まりである。マイナス金利政策でもし中小企業への貸出金利が上がったら逆効果となってしまうからである。よって、マイナス金利政策に踏み切る可能性はかなり低いが、ECBが政策金利(主要リファイナンス金利)を現在の0.5%から0.25%に引き下げる可能性は残っている。
「需要を上向かせられる魔法のような弾丸は存在しない」。イングランド銀行のマービン・キング総裁は先日の記者会見であらためて金融政策の限界を主張した。そういった発言は正論ではあるが、オズボーン財務大臣ら政権幹部にはウケが悪い。緊縮財政を続けるオズボーンとしては、金融政策で何とか成長率を押し上げてもらえわないと、次の選挙が心配になる。そこでキングの後任として、アグレッシブな若いマーク・カーニー・カナダ銀行総裁が招聘された。彼は7月1日にイングランド銀行総裁に就任する。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら