FRBのQE3縮小策次第で、新興市場に大波乱も 反動招きやすい日米の金融政策、市場との対話も難しく

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日本の政策を「ギャンブル」に終わらせないよう、我々は長期的な観点で地道に構造改革に取り組んでいく必要がある。

欧州で最近流行りの議論のひとつに、ドイツのシュレーダー前首相とメルケル現首相の関係がある。シュレーダーが進めた痛みを伴う構造改革は、彼の在任中は景気下押し要因となったが、その「果実」はメルケルが受け取ることになった。オランド仏大統領は、先日の訪独時に、「シュレーダーのような改革がフランスにも必要だ」と話していた。それと同様に、ブレア英首相時代の英経済回復もサッチャー時代の改革の恩恵だったという見方もある。

そうした改革は短期的には需要増にはつながりにくいだけに、実行している政権は支持率が低下しやすい。だが、長期的には必要な議論である。

ECBはマイナス金利政策を採用しない

他の中央銀行の最近の動向も見てみよう。

ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁は6月6日の記者会見で、マイナス金利政策について、技術的な準備はしているが、意図せざる結果を招く恐れもあるので様子見している、という説明を今月も行った。しかし、欧州の市場関係者の間では、「ECBはマイナス金利政策を採用しない」という見方が今では主流だ。ざっと数えても、既に5人のECB理事がマイナス金利政策に明確に反対するコメントを対外発信したからである。ドラギの発言は、為替市場でユーロ高を避けるためのブラフ(はったり)と見なせる。

デンマーク国立銀行(中央銀行)は、昨年7月から銀行が同行に預ける超過準備にマイナス金利を課す政策を採用している。この政策の意図は為替レートのペッグを維持することだけにある。デンマークはユーロには加盟していないが(1992年6月の国民投票で否決)、ラトビア、リトアニアと同様にユーロにペッグするERMⅡ(EUの欧州為替レート・メカニズム)に参加している。

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